著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

統計学的に有意に減少している…とは客観的な解釈なのか

公開日: 更新日:

 前回、男性の喫煙率が10年前の39.1%から29.4%まで下がっているという結果を示しましたが、ここにはすでに「下がっている」という解釈があります。しかし、ルールを「主観的な解釈で」とすれば、30%も40%も半分以下という点では、ほとんど変わらないという主観的解釈も十分納得できるものです。

 それでは、他にどんなルールに基づく解釈が可能でしょうか。例えば、「10%以上の差」というルールにすれば、差は9.7%ですから減っていないことになります。ただ、「5%以上の差」とすれば減っていることになり、10%とか、5%とか、差の基準が主観的に決められる以上、このルールも主観的な基準と言ってよさそうです。

 そうなると客観的な解釈とはどんなものなのでしょうか。そこに登場するのが統計学的な解釈です。統計学的な解釈にもいろいろなものがあり、最もよく使われているのが、「検定推定統計」と呼ばれるものです。

 検定推定統計の解釈は「ここ10年の男性の喫煙率は有意水準5%で統計学的に有意に減少している」などと、いかにも正しそうな表現で書かれます(ちなみに「有意」とは確率的に偶然とは考えにくく、意味があることを指す。「有意水準」とは統計上、ある事象が起こる確率が、偶然とは考えにくいと判断する確率のこと)。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い