著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

E・ジョンは失禁を告白 前立腺がんの手術後はオムツ生活に

公開日: 更新日:

 手術後には2人に1人の割合で、せきやくしゃみをしたときなど腹部に力が入ったときに、チョロッと漏れることが多く、医学的には腹圧性尿失禁といいます。術後10日でのステージなら、失禁は仕方なかったかもしれません。

 症状は、時間とともによくなり、半年ほどでほぼ改善するといわれますが、1割はその後も尿漏れが残るという報告があります。尿漏れパッドが欠かせない生活は、ショックです。

 前立腺の周囲には、勃起に関係する神経が、くまなく走っていますから、2つ目は性機能障害。年齢や手術前の勃起能力によっては、神経温存手術で能力維持は不可能ではありませんが、完全に維持するのは難しいのが一般的です。

 前立腺がんは、悪性度が低いタイプが多く、それなら治療をしないで経過観察する監視療法という選択肢があります。高齢者に多いのも特徴で、見つかったときの年齢と期待される余命から、亡くなるまでがんが悪さをしないと判断できれば、何もしないという考え方です。

 その途中にがんが悪化したら、放射線治療を選択すれば、2大合併症を防ぐことができます。高齢ゆえ、「性機能は関係ない」と思っても、尿漏れはつらいはず。アクティブに生活を楽しみたい人なら、なおさらです。そんな視点で、治療法を選択することが大切でしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い