著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

感染拡大が懸念されるデルタ変異株に対するワクチンの効果は?

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの感染拡大は現在も続いていて、特にインドにおいて感染者急増の原因となったデルタ変異株に注目が集まっています。デルタ変異株は他のウイルス株よりも重症化のリスクが高く、また感染力も強いことが知られています。

 しかし、すでに実用化されている新型コロナウイルスワクチンは、デルタ変異株を想定して開発されたものではないため、感染予防効果の減弱が懸念されていました。そんな中、世界的にも有名な医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、デルタ変異株に対するワクチンの有効性を検討した研究論文が2021年7月21日付で掲載されました。

 この研究では、英国において新型コロナウイルスに感染した集団と、感染していない集団のデータから、ワクチンの接種状況を比較し、その有効率を推定しています。なお、本研究ではデルタ変異株だけでなく、英国で感染が拡大したアルファ変異株についても解析を行っています。

 その結果、ファイザー/ビオンテック社製ワクチンのアルファ変異株に対する効果は、1回接種で47・5%、2回接種で93・7%、デルタ変異株に対する効果は1回接種で35・6%、2回接種で88・0%でした。また、アストラゼネカ社製ワクチンのアルファ変異株に対する効果は1回接種で48・7%、2回接種で74・5%、デルタ変異株に対する効果は1回接種で30・0%、2回接種で67・0%でした。

 当初、ファイザー/ビオンテック社製ワクチンの有効率は95%と報告されていましたから、少なからず効果が減弱することは否めません。ただ、その効果の減弱は決して大きなものではなく、ワクチンを2回接種すればデルタ変異株に対しても十分な感染予防効果が期待できるように思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁