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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

空腹ホルモン「グレリン」はがん治療と大きく関係している

公開日: 更新日:

■抗がん剤との併用で体重減なく治療可能に

 まったく逆の話になりますが、がんが進行すると食事が取れなくなり、痩せて動けなくなることが少なくありません。この場合、エネルギーとなる栄養不足は深刻です。経管栄養、胃ろう、中心静脈栄養といった対策はあっても、適応になる方は少ないのです。

 実は、胃から出る空腹ホルモン=グレリンと同じ作用がある「アナモレリン」という薬があります。これが今年の1月に「悪性腫瘍(非小細胞肺がん胃がん膵がん大腸がん)におけるがん悪液質」に対して保険適用となりました。がん悪液質とは、がんに伴う体重減少や食欲不振で体の一般状態が悪くなり、生活の質(QOL)が落ちている状態です。アナモレリンは、がん悪液質の患者さんにおける体重および筋肉量の増加並びに食欲の増加効果が示されたのです。

 また、このアナモレリンの内服により、抗がん剤との併用で体重が減らずに治療ができたという臨床試験の結果が報告されています。


 一般状態が良く、体力のある患者は抗がん剤治療に耐えて頑張れます。しかし、体力がなく食事が十分に取れない状態で抗がん剤を投与され、1、2回の治療で無理と判断されて効くかどうかも分からないうちに“ギブアップ”となってしまった患者をたくさん見てきました。

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