著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

夫婦関係が急速に悪化する「産後クライシス」育児への認識にずれ

公開日: 更新日:

 男女共同参画社会の推進や家族構成の多様化などによって育児における父親の役割に関心が集まっています。

 しかし、日本においては父親の育児・家事時間が1日当たり1時間23分と、他の先進国(米国や北欧では3時間以上)と比べて短く、産後間もない母親が抱える心身の負担は大きな社会問題となっています。

 NHKの報道番組は、産後間もなくして夫婦関係が急速に悪化する現象を「産後クライシス」と呼びました。

 そんな中、育児に対する父親の関わりを評価した研究論文が、日本疫学会誌の2021年12月号に掲載されました。この研究では、福島市において4カ月児健診を受診した子供の両親509組が対象となりました。

 母親に対して「夫から育児に関連したサポート(妻による夫の評価)があったかどうか」、父親に対しては「育児に関わっているか(夫の自己評価)」が調査されています。

 調査の結果、父親の育児時間(中央値)は平日2時間、休日6時間でした。育児に対する父親の関わりについて、妻による夫の評価と夫の自己評価、双方が関わっていると認識していたのは83.9%。逆に夫婦双方が関わっていないと認識していたのは2.6%でした。また、夫自身は関わっていると認識していた一方で、妻による夫の評価では関わっていないと認識していたのは8.4%、その逆に妻は関わっていると認識し、夫自身は関わっていないと認識していたのは5.1%でした。

 この研究ではまた、育児に対する父親の関わりについて、夫婦双方が関わっていると認識していた場合と比べて、夫自身は関わっていると認識し、妻による夫の評価では関わっていないと認識していた場合では、母親の精神状態の悪化と関連していたことが分かりました。

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