著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

「胎児」の心臓手術は医師も機材も高い技術が必要になる

公開日: 更新日:

 2021年7月、母親のお腹の中にいる赤ちゃんの心臓手術が国内で初めて行われ、無事に成功したことが同12月に発表されました。

 臨床試験としてこの手術を実施した国立成育医療研究センターによると、赤ちゃんは重症の「大動脈弁狭窄症」で全身に血液を送り出しづらい状態だったため、生まれた直後から心不全を起こして命の危険があったといいます。そのため、母親の胎内にいるうちに治療を行う必要があり、妊娠25週だった母親の腹部から細いカテーテルを通し、赤ちゃんの心臓まで到達させ、大動脈弁が狭くなっているところでバルーンを広げる外科治療が実施されたのです。

 大動脈弁が広がったことで通常に近い形で心臓の発育が促され、赤ちゃんは無事に生まれて経過も良好だといいます。同センターは臨床試験として今後も同様の外科治療の実施を目標にしていて、安全性と有効性の高い治療法の確立を目指しているとのことです。

 今回のような心臓治療は初めてのケースですが、生まれる前の赤ちゃんに対して実施される胎児治療は、いくつかの病気で行われています。生まれた後に治療を行っても救命がきわめて難しい病気が対象です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも