著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

アニメやマンガだけに惹かれる…「一次感情不全」に多い言動

公開日: 更新日:

 「感情不全」では、本音の気持ちを押し殺し、感情の感度低下が生じるという話をこれまで繰り返ししてきましたが、この感情は専門的には「一次感情(情動)」と呼ばれます。これは人が生まれながらにして持つ素の感情です。具体的には「うれしい」「悲しい」「怖い」「怒り」といった、犬や猫などの動物にも共通の喜怒哀楽といった原始的な感情です。一次感情は、英語ではエモーションと呼ばれ、いわゆる生物が生きていくために必要な行動(モーション)を具現化(エ)させるために、自らの体を駆動させるエネルギーを生み出すものという語源を有する、文字通りの本能的な感情です。

 この一次感情は食欲や性欲などの本能的欲望と一緒で、満たされずに我慢し続けていると非常に苦しい渇望感を生じる一方で、満たされて気が済むときれいさっぱり消える、つまりその役割を果たせば消退する、という習性を持っています。失恋後に大泣きしていたかと思っていた方が、数日後にはケロッとした顔をしてゲンキンにも別の新たなパートナーとよろしくやっていたり……。といったように、たとえばどんなにつらい悲しみであっても、しっかりと感じ切ると、やがてそれは時間と共に消退していくというように一次感情はできています。怖かったお化け屋敷も一度恐怖のピークを経験すれば、もうなんとも思わなくなるのも同様です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 3

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  4. 4

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  5. 5

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  1. 6

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 7

    小野田紀美経済安保相の地元を週刊新潮が嗅ぎ回ったのは至極当然のこと

  3. 8

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 9

    「しんぶん赤旗」と橋下徹氏がタッグを組んだ“維新叩き”に自民党が喜ぶ構図

  5. 10

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み