著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

親が身につけるべき「正しい話の聞き方・伝え方」10の原則~⑩

公開日: 更新日:

「僕にはトラウマがあるんです。中学生の頃、大好きなおじいちゃんが病気で亡くなったのですが、自分は運動部の大会があって、僕だけ死に目にあえなかったんです。その後、姉と弟が、僕のことを人でなしとか薄情者とか責めてきて、僕は耐えられないほどのつらい気持ちになって、自己嫌悪に陥ったんです。でも、未だにこの話を何度、母親にしても、『そんなのしょうがないじゃない』と言われるだけで……。どうしてもこのことが昼夜問わず思い出されて、その苦しみが抜けないんです」

 ある日、お母さまがご一緒だった時、私もいるところでBさんが「あの日、本当に僕は苦しかった。今でもそのことが忘れられずに自分を責め続けているんだよ」と話したところ、やはりお母さまの第一声は「しょうがないじゃない」でした。

 そこで、私は口を挟みました。

「息子さんは、中学生の頃から10年近くもそのことで一人悩み苦しんでいるとおっしゃるのに、その話を聞いたお母さんの第一声が『しょうがないじゃい』というのはどうなんでしょう? もう少しかけられる言葉があってもいいと思うのですが……。『つらかった』と今、言ってくれているBさんに対してはどう思われますか?」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々