陽子線でがんを狙い撃つ(2)利点は「止まる」と「止まったところで最大パワー」

公開日: 更新日:

 がん治療の放射線は大きく分けて、光子線と粒子線がある。従来の放射線治療であるX線は光子線。波長の短い光の波が水と反応し、そこから発生するフリーラジカルががん細胞のDNAを障害して殺傷する。

「一方、粒子線に該当するのが陽子線や重粒子線です。X線の殺細胞効果は間接的なものですが、陽子線は粒子が直接がん細胞にぶつかり、DNAを切断します」(中部国際医療センター陽子線がん治療センター施設長・不破信和医師=以下同)

 粒子線の利点は「止まる」、そして「止まったところで最大の線量を放出する」だ。

「がんの深さや形状に合わせ、がん細胞の位置で止まるように照射を設定すれば、ピンポイントで集中的に治療できます。がんより前の正常細胞へのダメージは極力小さくでき、がんの位置で止まるため、がんより先の正常細胞へのダメージはゼロになります」

 X線による放射線治療は肝臓へのダメージから、肝臓がんの治療としては主流ではなかった。しかしピンポイントでがんを狙える陽子線治療なら条件によっては可能だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり