陽子線でがんを狙い撃つ(2)利点は「止まる」と「止まったところで最大パワー」

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 がん治療の放射線は大きく分けて、光子線と粒子線がある。従来の放射線治療であるX線は光子線。波長の短い光の波が水と反応し、そこから発生するフリーラジカルががん細胞のDNAを障害して殺傷する。

「一方、粒子線に該当するのが陽子線や重粒子線です。X線の殺細胞効果は間接的なものですが、陽子線は粒子が直接がん細胞にぶつかり、DNAを切断します」(中部国際医療センター陽子線がん治療センター施設長・不破信和医師=以下同)

 粒子線の利点は「止まる」、そして「止まったところで最大の線量を放出する」だ。

「がんの深さや形状に合わせ、がん細胞の位置で止まるように照射を設定すれば、ピンポイントで集中的に治療できます。がんより前の正常細胞へのダメージは極力小さくでき、がんの位置で止まるため、がんより先の正常細胞へのダメージはゼロになります」

 X線による放射線治療は肝臓へのダメージから、肝臓がんの治療としては主流ではなかった。しかしピンポイントでがんを狙える陽子線治療なら条件によっては可能だ。

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