著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

認知症の患者さんからのセクハラにどのように対応するか

公開日: 更新日:

 今回のケースでは、対象となった技能実習生の女性は22歳で、日本語は勉強中ながらも愛想がよく、他の利用者からの評判も高かったそうです。そんな彼女に対し、患者さんは一方的に強い好意を抱くようになり、「この子と再婚するつもりだ」「遺産は子どもには渡さず、すべて彼女にあげる」などと、かなり踏み込んだ発言をするようになりました。

 特に問題となったのは、入浴サービスの際に全裸の状態で彼女に繰り返し抱きつくという行為です。足腰の弱い高齢者であるため、力ずくで振りほどくことも難しく、彼女はどう対処してよいか戸惑ってしまいました。

 高齢や病気による行動であることを頭では理解していても、やはり怖さや不安は拭えず、精神的なストレスから彼女は数日間仕事を休むことに。その後、心のケアのため、別の業務への配置換えとなり、患者さんの担当を外れることになりました。

 高齢になることや認知症の発症は誰にでも起こりうることであり、現代医学でもまだ完全な解決には至っていない分野です。そうした現実に、家族や周囲の支援者がどう向き合っていくかは、超高齢社会を迎えた今、私たち全員が真剣に考えなければならない問題です。

 そして、こうした課題が、病院ではなく家庭という閉じた空間で顕在化するのが在宅医療の現場。だからこそ、私たちはその一つ一つと丁寧に向き合っていく必要があるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市首相が招いた「対中損失」に終わり見えず…インバウンド消費1.8兆円減だけでは済まされない

  2. 2

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    長女Cocomi"突然の結婚宣言"で…木村拓哉と工藤静香の夫婦関係がギクシャクし始めた

  5. 5

    「NHKから国民を守る党」崩壊秒読み…立花孝志党首は服役の公算大、斉藤副党首の唐突離党がダメ押し

  1. 6

    国民民主党でくすぶる「パワハラ問題」めぐり玉木雄一郎代表がブチ切れ! 定例会見での一部始終

  2. 7

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  3. 8

    男子バレー小川智大と熱愛報道のCocomi ハイキューファンから《オタクの最高峰》と羨望の眼差し

  4. 9

    長女Cocomiに熱愛発覚…父キムタクがさらに抱える2つの「ちょ、待てよ」リスク

  5. 10

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ