著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

(4)不登校に薬や役に立つのか?魔法ではないが、治療の土台に

公開日: 更新日:

 ただし、薬には限界がある。薬で症状が和らいでも、親子関係、学校でのつまずき、失敗体験まで自動的に解決するわけではない。薬はあくまで、子供が動けるようになるための「土台づくり」。そこに、心理社会的支援が重なって初めて、回復への道筋が見えてくる。

 一方で、脳の変調に苦しむ子に、根性論や環境調整だけで対応しようとしても、どうにもならないことがある。そこに薬が入ることで、初めて治療全体が動き出すことがある。

 保護者として大切なのは、「薬を飲ませるか否か」を親の思想や感情論だけで決めないことである。その子の苦しさは何か、薬で軽くできる症状は何か、薬だけでは解決しない問題は何かを整理して考えることが重要である。

 薬を勧める理由のひとつは、治療時間を短縮しうる点にある。あっという間に過ぎ去ってしまう子供の大切な時期、機会損失は取り返しがつかないほど大きい。たとえ心理社会的治療だけでも回復が期待できるケースでも、薬の助けを借りることで回復への道のりが早まり、そのぶん家庭、学校、心理支援にかけられる時間と余力が増えることの意義は大きい。

 まして、薬でなければ改善しにくい症状であれば、後になって「あの時使っておけばよかった」と悔やまない対応も心がけたい。

 薬は敵でも魔法でもない。適切に使えば助けになる。大切なのは、子供のメリットをいかに最大化するか、この一点に尽きる。 =おわり

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