(4)不登校は親子関係の歪みを映し出す鏡…親のカウンセリングも不可欠
不登校の子どもたちの「駆け込み寺」的存在、さち臨床心理研究所(小野幸子所長)では、子どものカウンセリングだけでなく両親を含めたカウンセリング(集団家族療法)を行ってきました。
「不登校は親子関係の歪みを映し出す鏡です。子どもの傷ついた心を治すには、親への働きかけが不可欠なのです」(小野所長)
小野所長が行ってきた集団家族療法は、子どもだけでなく母親、父親、兄弟姉妹なども加わります。何組もの家族が参加し討論することで、その家族特有の認知の歪みに気づいたり、多様な価値観を受け入れたりしていきます。
Kさん(39)親子もこの集団家族療法で、生き方が大きく変わりました。
Kさんは中学1年生の半ばから不登校気味となり、2年生の時には全く登校できなくなりました。
父親は外資系企業の営業職で単身赴任中、家事育児は妻任せで、家族との触れ合いも少ない仕事人間でした。母親は専業主婦で義母の介護に追われていました。夫婦とも「自分たちは問題ある生き方をしていないのに、なぜ子供が不登校になったのかわからない」と考えていました。