専門家「アテにならず」 南海トラフ“発生確率80%”の意味

公開日: 更新日:

 政府の地震調査委員会は先日、南海トラフ沿いでM8~9級の大地震が30年以内に起こる確率を「70~80%」と発表した。昨年までの「70%程度」から10%近く引き上げられたことになるが、武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏(地震学)は「数字はまったくアテになりません」と言う。

「確かに南海トラフ地震を引き起こす“ひずみ”は年々たまっています。いつかは地震が起こってしまうでしょう。それが今年でなければ、翌年の方が発生のリスクは当然高まります。ただし、政府が出した数字はいい加減だと思った方がいい。何しろ政府が海溝型の地震を予測できたことは、これまでに一度もないんですからね」

 政府は1965年に国家計画として「地震予知計画」を発足させたが、予知できたことはゼロ。内陸直下型の「阪神・淡路大震災」(1995年)の予測にも失敗している。それで内陸直下型の予知をあきらめて、同年に「地震調査研究推進本部」を設立させた。

「“予知”ができないから“調査研究”に看板を付け替えたわけです。そして海溝型限定で予測の数字を出す一方で、活断層の調査もやっているのです。ただし、活断層の調査は数百年や数千年に一度クラスの地震を対象にしたものですし、そもそも日本で起きている地震の多くは内陸直下型の地震。こちらは予測の数字すら出していないのです」(島村氏)

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する