増田晶文
著者のコラム一覧
増田晶文作家

1960年生まれ。漫画「いっぽん!! しあわせの日本酒」で原作、日本酒選定、取材、コラム執筆を担当。近著に「うまい日本酒をつくる人たち 酒屋万流」(草思社)。

洋食にもマッチする 強烈な酸味の個性派「純米アフス生」

公開日: 更新日:

 日本酒の美点は「酒屋万流」、酒ごとの豊かな個性にある。ところが、このところ大手を振っているのは、香って甘酸っぱい酒ばかり。サワー系酎ハイ人気にあやかろうということなのか?

 だが、そんな酒の多くが奥行きに欠け、薄っぺらなのが気にかかる。うまい酒は重層的かつ複雑な風味を備え、味わいの幅が分厚い。トータルバランスで甘・辛・酸・苦・渋が高いレベルで拮抗している。

 心ある蔵は味わいの演出にも知恵と技術を絞っており、そのアプローチの違いを堪能するのが、日本酒を呑む楽しみであり喜びといえよう。

 たとえば「十四代」の香り、「村祐」の甘味、「新政」の酸味はいずれも、くどさとは無縁で気品すら漂う。オリジナリティーたっぷりながら、決して悪目立ちしない。これらを先導役にし、ほかの風味が絶妙のアレンジで迫ってくる。ついつい2杯3杯と杯が進む。

 そんな銘酒が覇を競う中、極めつきの個性派が「アフス」。口にすればだれもがまず、強烈な酸味に目をみはるはず。だが「アフス」は奇をてらった酒にあらず。高い完成度と後を引くうまさに魅了されてしまう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のライフ記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷翔平は要警戒…ダルも不信感抱くア・リーグ東地区の“インチキ”に気をつけろ

    大谷翔平は要警戒…ダルも不信感抱くア・リーグ東地区の“インチキ”に気をつけろ

  2. 2
    ジャニー喜多川氏の性加害を暴いた“禁断の書”の中身…超人気アイドルが「ジャニーさんが、ジャニーさんが…」

    ジャニー喜多川氏の性加害を暴いた“禁断の書”の中身…超人気アイドルが「ジャニーさんが、ジャニーさんが…」

  3. 3
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4
    副業なら「ネット物販一択、月10万円稼げれば人生が変わる」3年で2億円稼いだ達人がコツ伝授

    副業なら「ネット物販一択、月10万円稼げれば人生が変わる」3年で2億円稼いだ達人がコツ伝授

  5. 5
    元Jr.が実名激白!「東山はジャニー氏側近中の側近。性加害を知らないはずがない」

    元Jr.が実名激白!「東山はジャニー氏側近中の側近。性加害を知らないはずがない」

  1. 6
    櫻井翔またまたジャニーズ性加害問題“ゼロ回答”…キャスター失格に加え問われるCM出演の是非

    櫻井翔またまたジャニーズ性加害問題“ゼロ回答”…キャスター失格に加え問われるCM出演の是非

  2. 7
    シャイなたけしが世界に再婚妻披露のワケ…事務所独立、糟糠の妻との離婚で起こった変化

    シャイなたけしが世界に再婚妻披露のワケ…事務所独立、糟糠の妻との離婚で起こった変化

  3. 8
    ツナとシーチキンの違いって? 「はごろもフーズ」に聞いた

    ツナとシーチキンの違いって? 「はごろもフーズ」に聞いた

  4. 9
    岸田首相ボンクラ長男秘書官 6.1更迭に“退職金・ボーナス狙い”の憶測…慌てて火消しの姑息

    岸田首相ボンクラ長男秘書官 6.1更迭に“退職金・ボーナス狙い”の憶測…慌てて火消しの姑息

  5. 10
    市川猿之助はジャニー喜多川と同じだったのか、それとも伊丹十三か?

    市川猿之助はジャニー喜多川と同じだったのか、それとも伊丹十三か?