藤北誠也さん<1>父に「一度は地元離れろ」と言われ東京へ
ボクシングのチャンピオンは、高校や大学のボクシング部からステップアップするのが一般的な流れ。しかし、来年、フライ級のタイトルマッチを予定している3位の藤北誠也選手(31)は、学生時代にボクシング経験がない。実は、自動車整備士のサラリーマン時代に東京・練馬の三迫ジムに通いながらプロを目指したという。
「学生のころって、強いものへの憧れがあるじゃないですか。僕にとっては、それがボクシング。でも、進学した高校にはボクシング部がなく、それっきり。高校卒業後は京都の自動車専門学校に通い、ほぼほぼ地元奈良での就職が決まっていたんです。そんなとき、オヤジに『一度は、地元を離れた方がいい』と言われたんです。1年目の10月ごろだったかなぁ。就活もそろそろ終わろうかというころでした」
当時(2007年)は、年金記録未統合問題を受けて、夏の参院選で自民党が惨敗。参院は民主党が第1党になり、安倍首相は9月に政権をぶん投げ辞任を表明した。政治はドタバタだったが、ドコモがパケット定額制をスタートするなど携帯サービスは拡大していく。19歳のボクサーの卵は、一つの考えにたどり着いたという。