【オイルサーディンのパプリカ香るシェリー蒸し】酒が進む
バル・センブラドル(東京・銀座)
こりゃもう断然、シェリーを家に置きたくなった。問題は最初の1本を何にするか。
「それはやはり『ティオ・ぺぺ』でしょう。フィノの代表的な銘柄で、松田優作や吉田茂が愛飲したことでも知られています」(須釜さん)
そうそう、ドラマ「探偵物語」にも登場したティオ・ペペ。当時は謎の酒だったが、今でも十分ツウ好み。それを選んだ優作はやはりすごい。
吉田茂が好んだのは「イギリス留学経験があるからでしょう」と須釜さんは言う。というのも、シェリーは英仏戦争で流通が途絶えた仏ワインの代わりに造られ、もっぱらイギリスで飲まれていたから。ちなみにその時に持ち込まれたシェリー樽を使って熟成されたのがスコッチウイスキー。シェリーの方が歴史が古いのである。
そんな“違いの分かる男”たちが愛した酒に合わせたいのがこちらの料理。簡単だが恐ろしいほど酒が進む。隠し味はシェリーとパプリカ粉。パプリカ粉はスペイン料理によく使われる香辛料の一種で、辛味はないがカツオ節のような香りとうま味を料理に加える。