俳優・三浦剛さん めちゃくちゃケンカした兄・大輔と仲良く食べた卵焼き
三浦剛さん(46歳/俳優)
横浜DeNAベイスターズの三浦大輔監督の弟で、俳優として活躍している三浦剛さんが、ろう者の女優で夫人の忍足亜希子さんとの共著「我が家は今日もにぎやかです」を出版、これを基にした映画も公開中。おふくろメシは「ハマの番長」として親しまれる兄、三浦大輔と取っ組み合いのケンカをしながらもガッついた卵焼き。
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僕は奈良県橿原市の出身で兄の大輔、僕、三男の3人兄弟です。家業は大阪・玉造の花屋で親父は2代目。奈良からハイエースを運転し、市場で仕入れをしてから店に行き、おふくろは僕らを学校に出してから近鉄電車で出掛けていました。
うちは一家みんな大きい。親父は角刈りで柔道3段、体重は110キロあって地元では組長と呼ばれていた。兄弟は兄貴が183センチ、僕が181センチ、弟も178センチあります。
性格はというと、親父に似ているのが兄貴と三男です。親父は見かけによらずお花やお茶をやる趣味人、自由気ままな人です。おふくろ似は僕だけ。三浦家を仕切っているのは、家も店も切り盛りするシャキシャキのおふくろでして、僕のべシャリはおふくろ譲りですね(笑い)。
エースで4番は僕 兄貴はサード兼投手で8番
兄弟は3人とも同じ小中学校から高田商業に進学しました。子供の時から野球をやっていて、どっちが上かというと兄貴より僕でした。兄貴はエースで4番のイメージだと思いますが、中学まではサード兼投手、8番バッターとかだった。下手くそだったんです。逆に僕は小4からエースで4番、兄貴は一度も優勝したことがないのに、僕は小4のジュニア大会以降は全部優勝しました。試合を撮ったビデオは僕は決勝まであるのに、兄貴は1回戦で負けるから1本しかなかった。自宅で僕の祝勝会をやっているのを見て、兄貴は2階の部屋で悔しい思いをしたそうです。
でも、わからないものですね。兄とは2つ違いなので僕が高田商業に入った時は兄貴は3年でした。春夏とも決勝で天理高校と対戦して負け、ドラフト6位で須藤監督時代の横浜大洋ホエールズに入団しました。この時の巨人のドラフト1位は天理の谷口(功一)投手です。兄貴はベイスターズになっても一軍のレギュラーだったのに、谷口さんは活躍できないまま球団を転々としていました。
僕は大阪学院大に進学したけど、プロ野球は無理だと思いました。卒業したら社会人野球からスカウトもされました。でも、社会人に行っても30歳くらいで引退し、実家の花屋を継ぐというレールが見えたので、4年間夜勤のバイトだけやり、大学を辞め、役者になろうと上京しました。
■人見知り、揉め事嫌いだった“番長”
兄貴は番長と呼ばれているけど、見た目と性格は全然違います。おっとりして人見知り、揉め事も苦手だし。矢沢永吉さんが好きで髪形をリーゼントにしているので、番長のように見られていますが。
逆に僕は不良が大嫌いで、暴れん坊でケンカばかりしていました。典型的なザ・次男坊という感じ。ヤンチャしてた。番長というあだ名は中学までは僕でした。
兄貴とは、めちゃくちゃケンカしました。小学生の時は兄貴の顔面を受話器で殴り、流血させたことがあります。あの時は怖くなって隣町にいるおばさんの家まで逃げました。自宅にミシンがあって、その木製の分厚い椅子で兄貴のケツを殴った時は、椅子がバキッと折れて、兄貴が悶絶している間に逃げ出しました。
高校の時は何かで揉めて、僕が近くにあったラジカセを壁にぶん投げたら大破、兄貴が突進してきてタックルしようとしたのでヘッドロックをしたら、おふくろに止められました。いつもは親父が間に入って一撃されておしまいだったけど。兄貴とケンカしたのはあれが最後ですね。
塩のみで味付けするとてもシンプルな卵焼き
それでも食事の時は僕も兄貴も仲よく黙々と食べました。大好きだったのは卵焼きです。兄貴も好きだと思います。うちのは塩のみで味付けするとてもシンプルなものです。当時は8個くらいを2回に分けて焼いてたんじゃないかな。
卵は溶き過ぎないこと。焼き方は半熟っぽく、白身がトロッと出てくる感じ。長方形に焼いて横に切ってました。取り皿にマヨネーズを入れ、それをちょっとだけつけて食べることもありました。
三浦家はマヨネーズが大好きです。兄貴は焼き肉にマヨネーズをかけて食べていたくらいです。
今でも実家に帰るとおふくろに卵焼きをリクエストします。それにアサリのみそ汁と白ご飯があれば最高です。
それにしても子供時代を考えれば、僕と兄貴の人生がこんなふうになるとは想像もできなかったですね。兄貴は一度も優勝経験がないままベイスターズに入団して初めて優勝を経験し、監督をやっている。新人監督の連敗記録のワーストを更新したけど。僕は奥さんと結婚して一緒に映画に出ている。人生は何がどうなるか本当にわかりませんね。
(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)
■「僕が君の耳になる」全国順次公開中(13日からはシネ・リーブル梅田)
ボーカル&手話グループの「HANDSIGN」の同名の楽曲を原案に、エッセー「我が家は今日もにぎやかです」を出版した三浦剛とろう者の忍足亜希子夫妻の実話を基に描いたラブストーリー。三浦、忍足も出演、三浦は手話協力もしている。