無症状者の集団検査開始も…変異株は「解析せず」のお粗末
新型コロナの感染者数が減少傾向を示し、待望のワクチン接種もスタート。光明が見えてきたような論調も目立つが、心配なのは変異株の市中感染だ。感染力が強く、重症化リスクを高め、さらに抗体が効かない「逃避変異」も見つかっている。
これまでに変異株の感染者は16都府県と空港検疫で164人が確認されている。ほとんどは変異株感染者の濃厚接触者などで氷山の一角に過ぎない可能性がある。
実際の変異株の広がりを掴むには、接触者に限らず、市中の検体の遺伝子情報を調べる「ゲノム解析」を徹底する必要がある。その絶好の機会こそ西村コロナ担当相が16日に発表した集団検査だ。
感染再拡大の予兆を早期に感知するため、無症状者を対象に飲食店が集中する繁華街のほか、企業や学校で集中的に実施。検査は無料だ。来週から栃木で始まり、将来的には緊急事態宣言が発令された11都府県に拡大。1日1万件程度までに増やす方針で予備費から81億円を拠出する。
後追いではない集団検査は一歩前進。ここで得られた検体をゲノム解析すれば、変異株の市中感染の実態を把握できるはず。