広報スキルを生かして副業だった漁業関係の仕事を本業に
中川めぐみさん(38歳)
【元の本業=IT系ベンチャー広報 副業=釣り・漁業×地域活性】
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水産、畜産、林業、農業などの第1次産業にはWebなど新しいテクノロジーが導入されて変化が起きている。最近は地域の行政や企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する人材を副業で募集するケースもある。
今回は広報のスキルを生かしながら、好きな漁業関係の仕事を副業から本業にした中川めぐみさんに話を聞いた。
中川さんのキャリアから伺った。
「大学卒業後、大手製薬会社を経て、2012年にGREE(グリー)というソーシャルゲームなどを提供する総合インターネット企業に転職し、新規事業開発を担う部署に配属されました。グリーは当時、『釣り★スタ』というゲームに力を入れていたのですが、ゲームの領域からリアルな釣りに関連して何かできないかと考え始めたのが漁業に関わったきっかけです」
筆者も釣りスタのユーザーだった。糸を垂らして、魚が食いついたタイミングでボタンを押すまでがドキドキして楽しい。川や海の主(巨大魚)を釣り上げられた時はとても興奮する(笑い)。サヨリ、アイゴ、ギンポなど、釣りスタで知った魚も多かった。
「リアルの最初は東京湾のアジ釣りです。釣りは船に乗って出港するだけでテンションが上がります。風を浴びて水平線を見て波の音を聞きながら、近くにカモメが通る。非日常的で心が癒やされる。実際に魚を釣り上げるためには戦略的な要素もありますし、釣りスタにあるような(笑い)、ピクピクという魚を引いた時の感触はとても刺激的です。釣った魚をさばいて食べるという行為は狩猟本能を自覚します。そんな様子をSNSに投稿していたら、一緒に連れて行って欲しいというコメントが多くつくようになって、いつの間にかツアーを主催する感じになりました。釣りは決して一部の人の趣味ではなく、誰でも楽しめるアクティビティーなんですよ」