島地勝彦さん<1>いくつになっても新しい本を開く時は興奮

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 コロナ禍で今は夕方4時から始まるバータイム。会話は避けて、一人でパブや居酒屋、バーの扉を開ける人も多いのではないか。

 まずはビールで喉を潤し、ハイボールにいく。そんな時、お気に入りの読み物があると、一人飲みも楽しい。“読むツマミ”には何がいいのか。実は、小紙のようなタブロイドは最高なのだが、それじゃあ、手前ミソなので伝説の編集者たちにご登場を願って、イチ押しの“ツマミ”を聞いてきた。

 最初の案内人は集英社で週刊プレイボーイを100万部にした島地勝彦さん(79=写真)をおいて他にいないだろう。集英社を辞めた後、数多くの著書を出しているだけでなく、モルト好きが高じて、自らバーを開いているのだ。ある雑誌で架空のバーを設定、そこに集う客のエッセーを書いていたところ、伊勢丹の社長に「リアルのバーを出しませんか」と言われたのがキッカケだ。伊勢丹メンズ館の中にあった島地さんのバーは今、西麻布に移っている。薄暗い店内、壁に埋め込まれた本棚の内装が重厚だ。そこに島地さんが手掛けた本がズラリと並ぶ。

「僕は本のソムリエをやっているんです。お客さんがどういう本を読みたいのかを聞いて、推薦するんですよ」

 何しろ、19歳の時に筑摩書房の世界ノンフィクション全集50巻を読破したような人なのだ。「傘寿になる今でも、新しい本を開ける時が一番興奮する」という。

 そんな島地さんが薦めてくれたのは開高健の「ずばり東京」、柴田錬三郎の「赤い影法師」、今東光の「毒舌日本史」、そして、塩野七生さんの「小説 イタリア・ルネサンス」だ。

「開高さんの小説は暗くて陰々滅々としちゃうんだけど、これは新しい試みとして週刊朝日に連載した体当たりルポなんです。時代は1964年の東京五輪が始まる直前。工事の槌音にあふれていた東京ですが、その裏側には別の景色と人間模様があった。その取材力は圧倒的です」

 目次を並べると、「空も水も詩もない日本橋」「“戦後”がよどむ上野駅」「新宿――その二つの顔」「銀座の裏方さん」などなど。1編が原稿用紙30枚くらいだから、1、2杯で切り上げるのにちょうどいい。夕方から開高を読み、飲む至福。一人飲みは悦楽だが、島地さんの話は次回も続く。

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