テンポスバスターズ<1>中古の「厨房機器」買い取りが活況
業務用の冷蔵庫に製氷機、調理器具……。広いフロアに厨房機器の中古品が所狭しと並べられている。ここは、店舗用品の専門店を全国で展開している「テンポスバスターズ」の川崎店。コロナ禍で飲食店の閉店が急増している現在、不要になった厨房機器の買い取りと販売を手掛ける同社の店舗にも問い合わせが増えている。
新型コロナのニュースが報道され始めたのは昨年1月ごろ。同社取締役の遠山貴史さんがその時期から増え始めた買い取りの現場の様子を話す。
「もともと1月は飲食店が稼ぎ時の年末の状況を見て来年も事業を続けられるか、それとも廃業するかを判断する月。例年買い取りが多い月なのですが、昨年1月は前年比の14%増でした。通常ならその後は減るはずが2月以降も高い水準で推移し、5月には約40%増にもなった。今振り返ると感染拡大が話題になる前の1月から既にコロナの影響はあったのかもしれません」
昨年5月といえば1回目の緊急事態宣言が発令中だった時期だ。未知のウイルスへの不安から多くの飲食店が休業や時短営業をしていた。「自粛でここまで売り上げが減少するとは思わなかった、と落胆する店主の声も少なくありませんでした。当時は国や自治体の支援金も少なく、先が見えない状況で立ち行かなくなって閉店せざるを得ない店が多かったのでは」と遠山さんは分析する。