ワクチン先進国の英でも蔓延 1回接種ではインド株に勝てず

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「ロックダウンを解除すれば、ウイルスがワクチン接種のスピードを上回り、数千人の死者を出しかねない」――。イギリスは21日にロックダウンを全面解除する予定だったが、14日の会見でジョンソン首相はロックダウンの延長に理解を求めた。

 英国では年初、新規感染者が6万人に膨れ上がったが、4月には2000人前後に減少。今年1月から続くロックダウンは3月以降段階的に緩和され、今月21日に完全解除の予定だった。ところが、ここへきて一気にインド株が拡大し、足元の感染者数は8000人前後にまで膨らんでいる。現在、全感染者の9割がインド株だ。

 英国はワクチン先進国だ。これまでに人口の61%にあたる4100万人以上が1回目の接種を終え、45%にあたる3000万人近くが2回目も完了している。それでも再び感染が広がってしまった。ロックダウンを1カ月延長し、2回目の接種者を1000万人増やし、人口の6割に引き上げる方針だ。

 ここで言えるのは、人口の6割が1回接種しただけではインド株は猛威を振るうということ。アーガー保健次官はBBCの番組で「重症化しているのは、ワクチン未接種か1回接種者だ」と説明している。

五輪開催が蔓延を後押し

 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。

「従来株に対しては1回接種だけでもワクチンの効果はそこそこあるとされた。しかし、インド株は1回では十分な効果はないということです。また、2回接種後、2週間経過しなければ発症防止効果は出ない。加えて、ファイザーのワクチンは、インド株ではやや効きにくいとの研究もあり、留意すべきです」

 スコットランドの研究によると、ファイザー製の2回接種から2週間後の有効性は、英国株92%に対し、インド株79%だという。

 菅首相が目標とする1日100万人接種のペースなら、日本では8月に人口の6割が1回目の接種を終える。この夏、ちょうど現在の英国と同じ状況になる。これでは、英国同様、インド株が蔓延しかねない。

「英国でインド株が広がったのは、感染者が減り、ワクチン接種も進んだことで、気が緩み、人流が増えたことも要因です。1回接種のうちは、警戒を緩めてはならないのですが、五輪開催で人の移動が増え、夏にインド株の蔓延を許してもおかしくありません」(中原英臣氏)

 英国を教訓にすれば、五輪開催はとても無理だ。

インド株のせい? カレー店悲鳴

 感染力が強いとされる新型コロナのインド型変異株。日本国内では「インド株」という言葉が独り歩きし、インド料理店などが風評被害に悩まされている。

 客からの差別的な問い合わせを受けたカレー店の代表は「インド人従業員と変異株は関係がなく、心が痛い」と話している。発見場所の国名を使うのが通例だった変異株の呼称について、世界保健機関(WHO)は5月末、ギリシャ文字のアルファベットを使うと発表した。

 対象国への差別解消が狙いで、日本政府も同様の対応を表明している。

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