ウガンダ選手団来日で分かった水際対策と接触者追跡の拙さ

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 東京五輪のウガンダ選手団9人のうち、1人が成田空港の検疫で新型コロナウイルスの陽性と判明した問題。ようやく、3日経った22日、残りの8人と、現地から随行した泉佐野市の職員1人が濃厚接触者と判断された。改めて、水際対策と接触者追跡のマズさが浮かび上がった。

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 陽性が確認された1人が乗っていた飛行機はカタールのドーハから10時間のフライト。選手団の他、80人の一般客が搭乗していた。厚労省によると、一般客80人は空港で抗原検査を受け、14日間は自主隔離するという。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。

「換気をしているとはいえ、10時間ものフライトなら、機中で他の選手や乗客に感染させていてもおかしくありません。ただ、日本到着時の空港検疫では、感染直後でウイルス量が少なく、抗原検査には引っかからない可能性が高い」

 機中で感染した場合、陽性判明まで時間がかかる。選手は入国後、毎日、抗原検査を受けるが、PCR検査と異なり、ウイルス量が十分でないと陽性を感知しない。つまりウイルス量が増え、陽性が判明するまで数日のタイムラグが生じるのだ。その間、選手は「陰性」の検査結果を片手に“隠れ陽性者”として感染を広げてしまう可能性が高いのだ。

「どうして、空港検疫も選手の毎日の検査も精度が低い抗原検査なのでしょうか。せめて、PCR検査にすべきです。また、空港検疫で陽性者が出た場合、全搭乗者を濃厚接触者として厳格に管理すべきです。全豪オープンでは搭乗者を2週間隔離させています」(中原英臣氏)

濃厚接触者認定は自治体に丸投げ

 空港の抗原検査で陰性だったウガンダ選手団の8人は空港では濃厚接触者かどうか判断されず、貸し切りバスで合宿地の泉佐野市に移動した。丸川五輪相は移動に問題はなかったとの認識を示したが、水際対策としては疑問が残る。

 政府は濃厚接触者の判定を自治体に丸投げ。空港で発見された陽性者の濃厚接触者を特定するのは地方の自治体に大きな負荷だろう。今後、五輪関係者の来日が本格化する中、空港で陽性が相次げばパニックになりかねない。

 そんな事態を想定してなのか、「プレーブック第3版」には、濃厚接触者の措置について〈ケース・バイ・ケースであり、どの程度ウイルスを拡げる可能性があるかを考慮する〉との記載がある。濃厚接触者「14日隔離」の原則にとらわれない対応をにおわせている。

 ザルの水際対策と消極的疫学調査は感染拡大を加速させる。歴史に汚名を残すパンデミック五輪になりそうだ。

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