石塚集
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石塚集

医学系編集プロダクション経営。医学ライター。東洋美術学校・ユーザーエクスペリエンス(UX)担当講師。テクノロジー系勉強会・湯川塾事務局。「AI新聞」副編集長。新宿・歌舞伎町でバーテンダーもしている。

30歳で奈良山岳会に入会…山を楽しむことに重点を置いたガイドが人気

公開日: 更新日:

小谷雅美さん(45歳)本業=民宿女将、主婦

 本日紹介したいのは、小谷雅美さん。小谷さんは奈良県吉野郡上北山村、大台ケ原山の麓に在住し、主婦業、旅館の女将(「ゲストハウス民宿100年」)を本業としながら登山ガイドをしている。

 山との出合いから聞いた。

「もともと山に興味はあって、山と向き合える時期を探していました。子どもを産んで少し落ち着いた30歳の時、情報収集や仲間との出会いを求めて奈良山岳会に入ったんです。奈良山岳会は昭和8年創立の社会人登山家の集まり。低山、縦走、沢登り、山スキー、アルパインクライミング、フリークライミングなどオールラウンドに活動しています。入会当時はクライミングにハマりました。でも、周りから登山についてもいろいろと聞かれることが増えて、自分も本格的にチャレンジしようと思い立ちました」

 総務省統計局の調査によれば近年の登山人口は約1000万人と増加中。男女比率は約半々で女性登山家も増えている。年齢別では昭和17年から昭和26年生まれの登山回数が多い。訪れる山の都道府県別ランキングでは東京都が13.9%で1位、奈良県が13.2%で2位。男女別では男性の1位が奈良県となっている。

「奈良県は県面積の70%以上が山岳地域ですからね。中でも大峰山系の山々は、いまでも修験道の聖地として信仰が受け継がれています。2004年7月には吉野から大峯山寺、玉置神社を経て熊野本宮大社に至る<大峯奥駈道><熊野参詣道小辺路>がユネスコ世界遺産に登録されました。いまはコロナ禍ですが、外国の人々の需要もいずれ復活すると思います。そんな背景もあるなか、15年に山岳会の先輩たちが『奈良山岳自然ガイド協会』を立ち上げ、縁あって登山ガイドとなり、協会に所属することになりました。そこから本格的にガイドが仕事になりました」

身体感覚から得た発見を楽しむ

 小谷さんは感覚が鋭く、身体感覚からいろいろなことを見つけてしまう。

「紀伊半島には、古道がたくさんあります。古道は集落と集落を結ぶ生活道の痕跡です。山奥なのに石畳や石垣が突然でてくることがあるんです。昔の集落の歴史などを調べていくと、なるほどここを通ると移動が半日短縮できるなどと合点がいくんです。ガイド中は道なき道にお客さまを連れていくことはできないので、古道は一人で散策している時に見つけることが多いです。また、私は母が鹿児島県伊佐市の人で、小さい頃よく長期で遊びにいっていました。今住んでいる奈良の上北山村と、伊佐市のしゃべり方のイントネーションや人の感覚が何か似ていると感じていたんです。それも調べてみると、どうやら黒潮にのって人々が移動していたのではないかという仮説があるそうです。身体感覚を研ぎ澄まして得られる発見はとても楽しいです。自然と暮らすということを実感できる瞬間です。私のガイドスタイルも山のピークをめざすだけでなく、山からインスピレーションを受けたり、山を楽しむことに重点を置いています」

 小谷さんのガイドが好きで、奈良だけでなく全国の登山計画やガイドを頼むようになる人も多いそうだ。収入を聞いた。

「多い時で、ひと月の収入の4分の1くらいがガイドの仕事になります。奈良を詳しく知りたい人、アルプスにチャレンジしたい人、初心者でトレーニングとして低山に行きたい人、それぞれの目的に合わせて計画します。ガイド料はだいたい1日3万円(別途交通費)を参加人数で割ってもらいますが、1グループ2~3名さまくらいが多いです」

 著者の知人にも70歳を越えてから、毎週のように山に行くようになった人がいるが、ガイドがいると安心と言っていた。今後も自分のスタイルに合うガイドへのニーズは高まりそうだ。 

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