40代記者が“AI婚活”を体験! パーティーの現場とマッチングの成果、女性の意外な反応

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 人生のあらゆる場面にAI(人工知能)が介入してきている。ある企業では社員の人事採用や考査に導入。さらに婚活においてはマッチングアプリという形でいち早く活用されているが、ついにはAI婚活パーティーなるものも開催された。その現場を取材してみると、見えてきたのは、優柔不断になりがちな人間の心をAIがサポートする、新しい人生の決断のカタチだった。

  ◇   ◇   ◇

 某日、40代の記者が向かったのは、「お寺で婚活(ハート)婚活AI&坐禅体験 婚活パーティー」というイベント。場所は東京・小平市の禅寺「平安院」。同寺では社会貢献活動の一環として結婚相談所「マリアージュ平安」を運営している。

 同イベントを発案し、平安院と共催したのは、横浜市に本社がある「横浜婚活・結婚相談所センター」。代表の北川城三さんは元神奈川県警幹部という変わり種だ。

「幹部時代に部下の結婚の相談によく乗っていたのと、少子高齢化を何とかしたいとの思いから、6年前に早期退職し、結婚相談所を立ち上げました」

 元幹部警察職員という信頼感から順調に会員数を増やしていた2021年、AIによる相性診断システムに出合う。人間の目には見えない微妙な肌の震えや体の揺れを解析し、性格や感情の状態を数値化するというもので、ロシアで開発された不審者検知システムを応用している。

「最初は半信半疑でしたが、仕組みを聞いたら“これは絶対に嘘がつけないな”と。アンケートなどより、相性の良い相手を見つけられる仕組みだと思いました」

微細な体の揺れを解析し性格や感情を数値化

 このシステムを提供する「京浜商事」(本社・横浜市)のシステム販売課長、福島良さんによれば、「DEFENDER-X」という防犯カメラの映像などから不審者を事前に発見してトラブルや事故を未然に防ぐためのシステムをベースにし、その解析結果に心理学の視点をかけ合わせ、被験者の性格を診断。見合う相手を8つのタイプから提案するという(サービス名「AIマッチングシステム トリガー」)。

 記者も事前に診断を受けてみた。方法は簡単。スマホで自分の顔を動画で1分撮るだけ。ただじっとしていればいい。こんな映像で本当に自分の性格が分かるの? とも思ったが、ものの数分で出てきた結果を見て福島さんはこう言った。

「記者さんは『カウンセラー』タイプで、性格は控えめで遠慮がち、奉仕的な恋愛傾向がありますね」

 ??? 自覚している性格とは真反対。AIではない、これまでの性格診断では「自己主張が強い」「リーダータイプ」と言われることが多かった。

「目に見えない体の振動から、その人の安らぎ、怒り、疲労、不安といった感情を抽出し、AIで分析しています。無意識の体の揺れをとらえているので、自分でも気づいていない“本当の性格”が分かるのです」(福島氏)

 同サービスはこの診断結果をもとに8つのタイプから相性の良い相手のタイプを3つ提案してくれた。カウンセラータイプの記者と相性がいいのは、似た者同士として同じ「カウンセラー」タイプ、真反対の「管理者」タイプ、両方のいいとこどりの「職人」タイプという。真反対のタイプは一見合わなさそうだが、互いに足りない部分を補えれば長続きするという。逆に似た者同士は相手の行動が読めるのでマンネリ化しやすいそう。一長一短というわけだ。

 なお、タイプは他に「世話役」「冒険家」「技術者」「起業家」「クリエーター」がある。

半数がマッチングという上々の成果

 前置きが長くなったが、いざ婚活パーティーの現場である。参加者は男女6人の計12人。男性が40~47歳、女性が36~50歳という布陣だ。

 参加者がまず行ったのは動画撮影。証明写真を撮る要領で、来場した順に1分程度撮影する。それを分析している間に、参加者は本堂で良縁祈願の祈祷と座禅体験。パーティー会場に戻った時には、各自のテーブルに診断結果の紙が置いてあるという寸法だ。

 そこから先は、1対1のトークタイム。普通なら趣味や仕事の話でも切り出すところだが、今回は互いにAI診断シートを見せながら、「あなたのタイプは何ですか?」「あ、ボクと相性がいいですね!」と、うまく本題に入る男女が目立った。時間が限られる婚活パーティーでは有効なアイテムだ。

 総当たりしたら30分のフリートーク。その後、意中の相手の番号(複数可)を書いて運営側に提出する。結果、マッチングに成功したのは半数の3組。そのうち2組は似た者同士の組み合わせだった。やはりフィーリングが大事ということか。もう1組は、女性の方がマッチングした2人の男性との間で迷った。片や似た者同士のタイプ、片や真反対のタイプ。最終的に選んだのは、AIが推薦する後者だった。

「これまで何度か婚活パーティーをして、話が合う相手ばかり選んできましたが、結局うまくいきませんでした。今回はAIの薦めもあったので、いつもは選ばないタイプの男性を選んでみました」(その女性)

 これが吉と出るか凶と出るか? それは“仏”のみぞ知るだが、AIが新しい道を開いたのは確か。迷える男女に幸あれ、である。

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