業界別上場会社「平均給与」ランキング 気になるライバル会社の給料は?
岸田首相はコロナ前の業績を回復した企業に対して3%超の賃上げを求めている。だが、経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は今週24日、春闘での一律賃上げは難しいとの意向を示した。オミクロン株が猛威を振るっているだけに、今後の業績は不透明。それでもサラリーマンとしては賃上げを期待したいが……。
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アイツはいくら稼いでいるかーー。同じ業界で働いていたら、なおさら気になる。業績はウチのほうがいいのに、ライバル会社より平均年収が少ない……と嘆く社員は大勢いそうだ。
東京商工リサーチの「平均年間給与調査」(上場企業2459社が対象、持ち株会社377社を除く)によると、2020年度の平均給与は603万2000円だった。
「総合商社や放送局などのメディアは例年通り、高額給与です。持ち株会社を含めると、上位100社は1000万円を超えました」(東京商工リサーチ情報部の坂田芳博氏)
同社の協力を得て、業界別の平均給与ランキングを独自に作成した。総合商社やメディア、不動産、電気機器、銀行、医薬はトップ5がすべて1000万円超だ(別表参照)。
三菱商事や伊藤忠商事、TBSホールディングス、電気機器のキーエンス、不動産のヒューリックは1500万円を超す。
持ち株会社は平均給与が高い
ただ、知名度の高い会社が必ずしも上位5社にランクインしていない。
電気機器ではソニーグループ(1044万円)や日立製作所(890万円)、パナソニック(744万円)などがランク外。銀行でも、メガバンクの三菱UFJFG(1071万円)、同じくみずほFG(993万円)はトップ5圏外だった。
「持ち株会社は社員の平均年齢が高く、人数も少ないので平均給与は高くなりがちです。また、若い社員の多い企業は低くなってしまいます。平均給与ランキングはあくまで目安でしょうが、転職を考える際などにチェックしたい項目です」(市場関係者)
コロナ禍の影響が大きい小売りは、ドラッグストアが上位に並ぶ。神奈川地盤のクリエイトSDHDが1位で、ウエルシアHDが5位。大手スーパーのイオン(830万円)、イトーヨーカドーやセブンーイレブンを擁するセブン&アイHD(742万円)はトップ5に顔を出さなかった。
百貨店も同様で、阪急百貨店・阪神百貨店のエイチ・ツー・オーリテイリング(805万円)、三越伊勢丹HD(785万円)、松坂屋・大丸のJ.フロントリテイリング(714万円)はランク外。
外食はコメダ珈琲店を展開するコメダHDがトップ。長崎ちゃんぽんのリンガーハット、丸亀製麺のトリドールHDと続いた。
日本の30年間の平均賃金の伸びはたった4.4%
「外食もそうですが、自動車や陸運、機械などはトップ企業でも1000万円に届いていません。日本全体の給与水準が低いのも理由のひとつでしょう。実際、経済協力開発機構(OECD)の2020年賃金調査で、日本はOECD平均の541万円(1ドル=110円換算)より低い424万円でした。1位の米国(763万円)とは330万円以上の開きです」(前出の市場関係者)
日本はイスラエル(433万円)や韓国(462万円)、ニュージーランド(498万円)より低かった。
マジか! という統計もある。1990年と2020年の30年間の平均賃金(OECD調査)の伸びは、韓国が倍近い92%アップ、米国は48%、英国は44%増だ。日本はたった4.4%増えただけだ。
“失われた30年”を取り戻すためにも、この春は賃上げに期待したい。