岸田政権なりふり構わぬ大軍拡…法改正で年金324億円横取り→防衛費財源充当の姑息
そこのけそこのけ防衛費が通る──。岸田政権が防衛費倍増のために企んでいるのが、医療や年金財源の“横取り”だ。今国会で法改正を強行し、防衛費の財源に充当しようとしているが、姑息な手段はスジ違いだ。
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政府は国立病院機構(NHO)の積立金422億円と地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金324億円を「不要見込み」として国庫に返納させ、防衛費増額に充てる方針だ。
事業で生じた黒字分に相当する積立金は、次期事業計画に必要な分を繰り越し、残余金は返納することになっている。NHOは国庫に、JCHOは「年金特別会計」に返すことが現行法で決められている。
国庫はともかく、なぜ、年金なのか。加藤厚労相は1日の衆院予算委員会で「JCHOは年金のお金を活用して設立を図った経緯があり、JCHOは年金特別会計に納付する形になっている」と答弁。JCHOの病院は年金保険料などによりつくられたため、残余金が出たら年金に戻すのは当然なのだ。
岸田政権は税外収入などあらゆる“余り金”を集めて防衛費を拡充することに躍起だが、現行法ではJCHOの積立金は防衛費には回せない。そこで、岸田政権は法改正を急ぎ、国庫納付の特例を設けようとしているのだ。
1日の衆院予算委でこの問題を取り上げた共産党の宮本徹議員は「わざわざ年金特別会計に入れると(法律に)書いているものまで大軍拡の財源に流用するのは大問題だ」と撤回を求めたが、岸田首相は「コロナ対策で積み上がった積立金のうち、特例的にご協力をいただく」と理解を求めた。
JCHOによると、事業の中期計画は5年単位で立てられ、現計画は23年度が5年目となる。積立金や剰余金の議論は1年後のはずだが、前倒しされたという。日刊ゲンダイの取材にJCHOは「前倒しの返納は異例の対応です。厳しい判断だとは思うが、政府全体の判断なのでやむを得ない。事業計画が大きく崩れることはない」(企画経営部)と答えた。