18歳以下の都民に年6万円の支援金「018サポート」(12.15〆切)を3割強が申請しない不思議

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日本にはそんなに裕福な家庭が多いの?

 6万円はいらないという裕福な家庭がそんなに多いとは思えないが、申請率が伸び悩む背景にはオンライン申請が煩雑なことや、そもそも給付金の存在自体を知らない可能性もある。来年7月に任期満了を迎える都知事選挙を睨んで急ごしらえで制度設計したため、周知が遅れた可能性は高い。新聞を読まなかったり、スマホではSNSしかしないといったような人は情報を見逃している可能性もある。

 一方、懸案だった生活保護世帯が018サポートをもらっても生活保護費を減額しないことがようやく決まった。

 さらに、二重に給付する区もある。都の給付金とは別に18歳以下の子供に所得制限なしで3万円の電子クーポンを配る江東区だ。電子クーポンはPayPayなどに交換して使うことができる。ほぼ現金の3万円をタダでもらえるというのに、こちらも忘れている家庭が多いようだ。

「まだ集計していませんが、そもそもこうした給付金の申請は100%にはならないものです」(江東区・担当者)

 とはいえ、電子クーポン受け取りの期限は12月末まで。それ以降はどうお願いしようとも一切利用できなくなるので、「うっかり忘れた」ということだけは避けたい。

■東京都以外の人は何ももらえないか

 こうした支援金があること自体、東京都にはお金が余っているということ。他に住む人は「関係ない」と思うだろうが、国や他県でも「子育て支援」を行っているところがある。

 まず、国から。「高等学校等就学支援金」で世帯年収を目安に年額最高39万6000円を助成している。支給条件は両親共働きと、どちらか一方が働いているケースで違ってくるが、共働きなら世帯年収約660万円以下で年額39万6000円(子供1人)。39万6000円という額は全国私立高の授業料の平均額になる。満額支給にはならないが、共働きで年収約1030万円以下なら11万8800円はもらえる。もろもろで比較的低所得世帯でも私立高校へ進学させることも可能だ。

 私立校の授業料がタダなら公立校はどうか? こちらも年収910万円未満なら公立高校の授業料である年間11万8800円が無料になる。

 さらに、お金のある東京都はこれに上乗せする形で、世帯年収910万円以上でも「子供が3人以上いる」世帯なら都立高授業料の半分(5万9400円)を助成。やはり大阪府も国の支援金に上乗せする形で、来年度から高校授業料の無償化を始める予定だ。

 高校が無償化なら、さらに先を行って私立中学の就学支援を行うところもある。何度も繰り返すが、お金持ちの東京都は「私立中学校等授業料助成」(今年は9月に実施)で、世帯年収910万円未満なら最高10万円の大盤振る舞い。

 千葉県、茨城県、兵庫県などにも主に低所得世帯向けに小中学校の助成がある。

「世帯年収910万円をギリギリ上回ってしまうような場合は、iDeCoに加入して控除額を増やすと支援金が受け取れます。ちなみに、iDeCoは主婦(主夫)も月額2万3000円まで加入できます」(ジャーナリスト・中森勇人氏)

■授業料無償化で湾岸付属中は難易度急上昇

 就学支援金が増えたことで、私立中学への入学希望者も急増している。

「湾岸の人気エリアにある中高一貫のかえつ有明は、倍率8倍超えの勢い。同じく豊洲の中高一貫校・芝浦工業大学付属は少し前まで難易度50程度の中堅校でしたが、今年は難易度60を軽く超えています。これまでなら公立中に通っていたような優秀な小学生が合格を狙ってます」(進学塾講師)

 親が少しムリすれば子供を私立に通わせられるわけだ。

 こうなると、「子育て世帯への優遇」をやっかむ人も出てきそう。しかし、日本の国力を再浮上させるためには優秀な人材の育成が必要という意見もある。列島改造論で公共工事のイメージが濃い田中角栄も政治家として最も力を入れていたのが教育政策だった。自民党の政調会長になると小中学校の「教職員数」を増やす法律をつくり、大蔵大臣に出世したら今度は「教科書の無償化」を実現させた。今や当たり前となったが、教科書を無料で配ったのがこの角栄なのだ。そして総理大臣になると、学校の先生の質を上げるため給与の5割アップを公約に掲げている。

 もちろん、私立に通わせなくても、将来は本人の努力次第。だが、本来はもらえるはずの助成金を申請を忘れてもらわないのは単純にもったいない。

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