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内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(33)深夜のコンビニ駐車場…私の前でベンツが急ブレーキで止まった

公開日: 更新日:

 当然、すでに2種免許を持っている志望者にも、入社にこぎつければ20万円ほどの“祝い金”が支払われていた。何も知らない、2種免許もない新人を育てる手間を思えば、即戦力だから20万円程度の出費はそれほど痛くはなかったのだ。

 当時、タクシー会社のこの“弱み”をうまく利用する「渡り鳥ドライバー」もいた。入社祝い金を狙って2、3年でタクシー会社を転々と渡り歩くのだ。どういうライフスタイルなのかは知らないが、真面目だけが取りえで、安定志向、おまけに老母をかかえてその生活を支えなければならない私には真似のできる芸当ではなかった。1シーズンに複数球団を渡り歩くことが珍しくない高給取りのメジャーリーガーではないのだから……。

■パンチパーマ、サングラス、上下白のジャージーの男の正体は?

 私の勤めていた大手タクシー会社には、こうした「渡り鳥ドライバー」はさほど多くはなかったが、“コイツ、渡り鳥だな”と感じるドライバーも何人かいた。

 ある夜の10時ごろ、小腹がすいたので浅草の路地裏のコンビニでお茶と菓子パンを買って車に戻ろうとしたときのこと。真っ白なベンツが急ブレーキをかけて私の前で止まった。降りてきたのはガタイの大きな男。パンチパーマ、夜なのにサングラス、上下白のジャージー。“その筋の人”と私は警戒した。以前、この付近でこの手の客を乗せて味わった恐怖体験がよみがえる。私の駐車の仕方に何か問題でもあったのかとも感じ始めていた。男が私に近づいてくる。私は緊張した。

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