上智大は合格者の最大40%も…2021年から急増した「補欠合格」の現状

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■補欠で繰り上げ合格の可能性を判断する目安は?

 早慶上智のように合格発表時に補欠合格がわかる場合で、どこまであてにできるか。早稲田大や上智大のように、過去の年次で補欠者とその追加合格者数を公表している場合は、それを参考にできる。

 上智大の24年と25年に補欠合格して入学した者を分析すると、共通テスト利用方式は、25年は経済学部と理工学部の物質生命理工と機能創造理工を除いて、補欠入学許可者はほとんどいない。ただ24年はそれに加えて法学部などが目立った。両年度ともに、メインの学部学科試験・共通テスト併用方式の補欠合格者数が多い。とはいえ、全体的に補欠入学許可数は減っている傾向にある。

 上智大に限らず、21年度から4年を経て大学側は合格者のうち入学手続き率の予想をする精度が高まっているので、それに合わせて補欠合格を出す。逆に言えば受験生は補欠の繰り上げ合格は、以前ほどあてにできなくなりつつある、といえそうだ。
 ただ慶応大のように50年間もランクつき補欠合格者公表制度がある場合は情報も蓄積している。同大学は共通テスト利用入試がないこともあり、上位ならば繰り上げ合格可能性も高いので信頼してもよいだろう。
 このように、補欠から合格への繰り上げ可能性は、大学・学部によって大きく異なる。 早慶上理は比較的高く、補欠合格者のうち約4割、 GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)は、学部によって違うが、約3割程度の実績となっている。

 第1志望の補欠合格になった場合は、繰り上げ合格の連絡が来る可能性がある3月中は、その大学の通知方法が電話かメールかウエブサイト発表かチェックして、電話の非通知設定や郵便物の確認など常時確認できる態勢を万全にしておくことが必要だ。「入試とは入学手続き完了まで続く」と考えたほうが良い。
昔は「まぐれ合格だ」といわれた受験生が、「どうせ補欠みたいのものだから」と謙遜する風潮があったが、現在の大学入試は、記念受験は除き模試偏差値の輪切りによる同レベルの受験生ばかりで、合否はまさに1点差の勝負である。補欠合格できれば正規合格者との差はほとんどない。

 本人も家族もその点を自覚し、「繰り上げ合格は、遅れてきた知らせでめでたい」ぐらいに考えよう。

(木村誠/教育ジャーナリスト)

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 著者の大学シリーズは●【関連記事】をご覧ください。

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