優秀な子供ほど大人になって伸び悩むワケ…幼少期の親の期待と賞賛が足かせに?

公開日: 更新日:

他の人の期待から自由になる

 人生において自分自身を「特別な存在だ」と思うか、あるいは「思っていたより普通かもしれない」と思うか。

「特別でなければならない」という考えを持っている人は、常に他者と比較している。勉強や仕事などで他者の期待に応えようとも努める。ただ、他者の期待を満たすという動機が、いつの間にか「優秀でなければいけない」「期待に応えないといけない」と心的縛となり、緊張した生き方を引き起こしていることも。

 アドラー心理学の第一人者で哲学者の岸見一郎氏が「特別になろうとしないが、同じでもない」生き方を探った新著『「普通」につけるくすり』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。

  ◇  ◇  ◇

 ずっといい成績を取り続けてきた人でも、試験で大きな失敗をしたり、自分よりも優秀に見える人が現れたりすると、自信が揺らぐことがあります。

 アドラーは、次のように言っています。

「思春期には、確立された傾向における明らかな逆転が見られる。多くのことを期待された子どもたちが、勉強や仕事で失敗し始めるのであり、他方、以前はあまり才能がないと思えた子どもたちが、追いつき、思いもよらない能力を表し始める。このことは以前の出来事とは矛盾しない。おそらく、非常に前途有望だった子どもが、担ってきた期待を裏切ることになるのではないかと心配になるのである」(『人生の意味の心理学』)

 子どもの頃からいい成績を取れる人はいます。しかし、そのような人が皆自信満々で「失敗」することなど考えてもいないかといえばそうではないでしょう。いつ何時「逆転」が起きるかもしれないと戦々恐々としています。

 優秀な子ども自身、このような逆転劇が勉学において起こりうることを知っています。だから、自信満々に見えても、競争に負けることが少しでも予想されると不安という感情を作り出し、努力にブレーキをかけます。

 ただ競争に負けるかもしれないと不安になるだけではありません。弟や妹に逆転されたときの親の評価、かつては優秀だと思われていたのに、他の人からの期待に応えられなくなるのではないかという他者からの評価が下がるという点でも不安になります。「担ってきた期待を裏切ることになるのではないか」という不安にいわば潰されてしまうのです。

 決して失敗しない子どもはいませんが、「勉強ができる子どもであれ」という親や周りの大人の期待を裏切ってはいけないと思うことは、子どもにとって強いプレッシャーになります。期待を満たさないと見放されるのではないかと恐れるからです。

 子どもの頃は優秀で親の期待を満たせた人であっても、大人になってからも同じように他者の期待を満たせるとは限りません。できることは、 他者の期待を満たすために仕事をしているわけではないと知ることです。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・戸郷翔征トレード獲得に他球団が虎視眈々 「ウチなら再生できる」「環境を変えた方がいい」

  2. 2

    「投手の墓場」で好投する菅野智之の価値 僕が日本人史上2人目の本塁打を打ったのもクアーズフィールド

  3. 3

    細木数子と闘った作家・溝口敦氏は『地獄に堕ちるわよ』をどう見たか? “女ヤクザ”の手口と正体

  4. 4

    磐越道バス事故で問われる運行会社と学校の罪と賠償責任…「数億円規模になるのでは」と弁護士が見解

  5. 5

    巨人にFA松本剛は必要だったのか…批判殺到する本人よりも「責められるべき人間がいる」と他球団関係者

  1. 6

    あの細木数子をメロメロにさせて手玉に…キックボクサー魔裟斗のシタタカさ

  2. 7

    倉田保昭さん80歳でも現役のアクション俳優「ストレッチが一番大事。おかげで痛いところはありません」

  3. 8

    渋野日向子×テレ東イケメンアナ“お泊り愛”の行方…女子プロは「体に変化が出る」とも

  4. 9

    衆院選「中傷動画」問題で高市首相「秘書を信じる!」超強気答弁が“命取り”に…追及ネタ再投下される恐れ

  5. 10

    サバンナ高橋“10年いじめ”問題の波紋…NHKは「番組出演は変更なし」と回答もイメージダウン不可避