小泉進次郎農相が支援明言も…コメの「高温耐性品種」栽培が日本で進まない事情
例年の猛暑がコメの生育や収穫に影響を及ぼし、一部産地で一等米の割合が激減する中、暑さに強い高温耐性品種の普及を進める動きがある。
「高温に対する強靱性を持つために、高温耐性品種に切り替えを進めていく後押しに取り組んでいる」
8月28日、福島県の生産者と意見交換した小泉進次郎農相は、政府として高温耐性品種の切り替えを後押しすると話したが、生産者からは、新品種を採用する場合、栽培方法を変えなければ収穫量が確保できないなどの懸念が示された。実際、高温耐性品種の普及がそれほど進んでいないのはなぜなのか。
「新品種は地域の気候や土壌に合わせて、県ごとに研究が積み重ねられていますが、開発に最低でも8~10年、生産に2年はかかるため、農家が希望するほどの量の種がないのが実情です。高温耐性品種として新之助、雪若丸、きぬむすめ、にじのきらめきといった品種がありますが、開発した県でしか使用できない新之助、雪若丸は県内のみの種の供給になり、種の栽培面積も限られるため、全国的に高温耐性品種の栽培をすぐには増やせないのです」(コメ流通評論家・常本泰志氏)