「私はペット代わりじゃない!」“犬ファースト”男が求める伴侶の条件。28歳女性が別れを決意した瞬間

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コクハク

ホームパーティで会った犬好き男性

 ペットは家族同然、大切にする気持ちは素晴らしい。けれど、その愛情が恋人関係をも上回るとすれば…? 

 私の友人・マイ(28歳、保育士)が出会ったのは、“犬至上主義”の男性だった。

 出会いのきっかけは、共通の知人に誘われたホームパーティー。マイは動物は嫌いではないし、むしろ犬や猫の動画を見て癒されるタイプ。ただ「絶対に飼いたい!」とまでは思っていなかった。

 だから、パーティーで犬好き同士という共通点から会話が盛り上がった時も「趣味が合うかも」と前向きに感じたのだ。

 相手はリョウタ(32歳、IT企業勤務)。清潔感があり、物腰も柔らかい。犬の写真をスマホで見せながら楽しそうに話す姿に、最初は「ペットを大事にしていて優しい人なのかも」と好印象を抱いた。

増えていく違和感。話題はほぼ犬のこと
 LINE交換後も彼からの連絡はマメで、「今度犬と一緒に散歩どう?」と自然な誘い。マイも軽い気持ちで応じ、初デートは公園での散歩となった。

 しかしその日から、少しずつ“違和感”が膨らんでいった。

 散歩中の会話は、ほぼ犬の話題だけ。犬用のおやつの原材料から、しつけ方法、最近通い始めたドッグランの情報まで延々と語り続ける。

 マイが「保育園の子どもが最近こんなことを言っていてね」と話題を振っても、すぐに「うちの犬も似たようなことがあってさ!」と犬の話にすり替わってしまう。

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結婚相手の条件は「犬を最優先にすること」

 二度目のデートもカフェではなく犬同伴OKのレストラン。

 料理の感想を話すより先に「犬のために無添加のササミをテイクアウトできるか聞いてみよう」と店員を呼び止める。マイが苦笑しつつ「犬中心なんだね」と軽く冗談めかして言ったところ、リョウタは真顔で返してきた。

「将来、僕と付き合う人は犬を最優先にしてほしいんだ。結婚相手の条件もそこは絶対譲れない」

 マイは思わず返事に詰まった。

 ペットを大切にするのは素晴らしいことだけれど、「人間関係より犬が上」という宣言をされると、恋人候補として考えるのは難しい。

三度目のデートで見えた彼の本性

 さらに決定打となったのは、三度目のデートでの発言だった。

 その日は映画を観ようと誘われたが、映画館に入る前から「本当は犬を置いてくるのは不安なんだよね」と落ち着かない様子。上映中も何度もスマホを確認しては、ペットカメラで犬の様子をチェックしている。

 エンドロールが流れた瞬間には「やっぱり早く帰ってあげないと」と足早に立ち上がった。

 帰り道、リョウタはぽつりとこう言った。

「前の彼女は犬に好かれなかったんだよね。だから結婚は無理だと思って別れた」

 その瞬間、マイの心は一気に冷めたという。

犬に好かれない人間はダメなの?

 犬に懐かれるかどうかで人間関係の価値を測られるのは、あまりに極端だ。

 しかも彼の言い方は「犬に好かれない人間はダメ」と言い切っているようで、マイにとっては価値観の押しつけ以外の何物でもなかった。

 デートの帰り道、マイは「彼にとって私は、恋人というより“犬の世話係候補”でしかなかったのかも」と虚しくなったという。

 最初は優しいと思った態度も、振り返れば犬を介しての気配りばかりで、自分自身を見てもらえていなかったのではないかと感じたそうだ。

 誰かを大切にすることと、自分のこだわりを押しつけることは全く別物だ。その境界を混同する彼と一緒にいたら、どれだけ頑張っても満たされない未来しか想像できなかった。

大切なのはバランス感覚

 後日、友人同士で集まった時にマイがその話をしてくれた。私を含めた全員が「さすがにそれは重すぎる」と苦笑い。中には「犬に負けてるって気分になるね」と笑いながらも、「でも本人にとっては深刻だよ」と同情する声もあった。

 動物を愛する気持ちは尊重したいが、恋人にまで“犬ファースト”を強要するのは違う。

 むしろ人間関係を築く上では、バランス感覚こそが大事だと痛感させられる出来事だった。

「犬はかわいいけど、私は犬の代わりに生きてるわけじゃない」

 マイの最後の一言に、場の空気は妙に納得して静まり返った。

(おがわん/ライター)

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