高島平団地タワマン建て替え計画に高齢住民が抱く不安…建築費高騰の影響は? 専門家が解説
タワーマンションへの建て替えが計画されているのが最盛期に3万人超が暮らし、“東洋一のマンモス団地”と言われた東京・板橋区の高島平団地だ。
8月25日、初めての住民説明会が開かれたものの、住民の4割ほどいる高齢者を中心に反対の声が上がっている。
「交通量の増加のほか、『タワマンになることで、家賃が値上げされたら困る』『今さらほかに移りたくない』といった声が聞かれます」(地元不動産業者)
巨大地震の発生が懸念される中、高度成長期に建てられた団地は老朽化や少子高齢化を理由に、各地で取り壊しや建て替えが進められている。しかし、難しいのが住民の合意形成だ。
「耐震性の不備を理由に、URが多摩地区にある築40年以上の団地の取り壊しをする際、それに反対する入居者に明け渡しを求める裁判に発展し、賃借人に退去を命じる判決が2013年に出ています。住民側は控訴していますが、一定の移転期間を設ける内容で和解しています。現在の借地借家法より賃借人の権利が強く保護されていた旧法では特に一人でも合意しないと取り壊しができなかったところ、入居者を退去させた異例のケースでした。阪神・淡路大震災で死因の多くが建物の倒壊などによる圧死や窒息死だったことから、大地震に備えたいという国の意思を感じました」(不動産アナリスト・長谷川高氏)