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新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

膝の痛みがあって歩行習慣がない人は認知症リスクが1.9倍

公開日: 更新日:

 膝の痛みがあると認知症の発症リスクが高くなる──。大阪大学の研究チームがこんな結果を発表しています。それによると、65~79歳で膝痛がある人は痛みがない人に比べ、3年以内の認知症の発症が1.73倍高く、膝の痛みがあって30分以上の歩行習慣がない人では、膝の痛みがなく歩行習慣がある人の1.91倍のリスクだったそうです。

 膝痛があると、立ったり座ったりがつらくなり、歩くのも困難になります。活動量が減り、外を出歩くこともなくなり、人との交流も減ってしまいます。脳への刺激が減り、筋肉量も落ちて体力が落ちてしまいます。そうなると認知症のリスクが高くなるのは、自然な流れといえるでしょう。

 ある男性のお母さん(80代)は、変形性膝関節症が進んで歩行が困難になり、息子が車を出せる時だけしか外出しなくなりました。

 変形性膝関節症がひどくなく、歩いて出掛けられていた時は、週に何回かは近所の喫茶店に行って、店の常連さんたちとおしゃべりするのを楽しみにしていました。しかしそれもなくなり、自宅で一日テレビを見て過ごすように。男性が「行きたいところあれば、車で送って行くから言いなよ」と伝えても、遠慮しているのか、お母さんは「特にないよ」と返すばかりでした。

 男性は母親が気になり、変形性膝関節症の手術について情報収集。最初は「80代になって手術は大変なんじゃないか」と思っていたそうですが、いろいろ調べるうちに気持ちが変わったとのこと。お母さんに提案したところ、意外にもすんなりと「あんたがそう言うんなら、(主治医の)先生に話を聞いてみようか」となったそうです。

 そしてお母さんは痛んだ膝関節を人工関節にかえる手術を受けました。「リハビリが大変かなぁ」という予想を裏切り、お母さんは、孫ほどの年齢の理学療法士とのやりとりを楽しんでいる様子。「自宅でやってくださいね」と言われた運動も、毎日熱心にやっているそうです。喫茶店の常連仲間と温泉旅行を計画しており、思うように歩けず塞ぎ込んでいた時とは全く違った、生き生きした表情を見せるようになったとのこと。

「歩ける」って本当に大事ですよね。私は、薬を使わずに行える認知症対策として重視していることのひとつが睡眠なんですが、歩けなくなり活動量が減ると、夜もぐっすりとは眠れず、睡眠の質が悪くなってしまいます。現役を退いたばかりの人から時々「眠りが浅くて」という話を伺います。どんな生活を送っているか伺うと、やることがないからと、新聞を読んだりテレビをぼーっと見たりして、昼間もほとんど動かずに過ごしている。

 それじゃあ、眠りも浅くなります。

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