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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ホンダ プレリュード24年ぶり復活の衝撃!懐かしデートカーが約618万円、月販300台になったワケ

公開日: 更新日:

ホンダ プレリュード(車両価格:¥6,179,800円/税込み)

 バブル世代には懐かしいクルマが復活した。9月5日、24年ぶりに発売されたホンダの6代目プレリュードだ。1978年に初代が登場、リトラクタブルヘッドライトとフェラーリより低いボンネットを持つ2~3代目が大ヒットし、トヨタ ソアラや日産シルビアと共にデートカー&ハイソカーブームを作った。

 そんなクルマが令和の今になぜ復活するのか? それも価格618万円(正確には617万9800円)で、月販計画わずか300台と高くて少ない。相当に絞られた計画であり、いろんな想像が成されているが、真の狙いは2つ、「新しい親子デートカー」と「ホンダブランドの復権」にある。

 早速テストコースで乗ってきたので報告すると、スタイリングはかつての薄べったい2ドアクーペではなく、全高1.3m台と低めだがパワフルなノーズと伸びやかなリアをもつ3ドアクーペハッチバック。スタイルと同時に実用性も確保され、シートは完全2シーターではなく、リアに狭めのシートを持つ2+2レイアウトの4人乗り。

 それでいてラゲッジ容量は4名乗車時は264ℓだが、2名乗車時は500ℓ前後に広がり、美しさと実用性を併せ持つ。事実その気になればゴルフバッグを2個かサーフボード2枚を積めるそうで、狙いが明確に伝わってくる。

モーター駆動なのに、エンジンと連動するかのように走れる

 基本的なボディ骨格は現行ハイブリッドのシビックe:HEVを進化させたもの。2ℓエンジンを核とし、主に電動モーターで加速するホンダ式だ。モーター出力&トルクは184ps&315Nmとシビックと共通だが味わいは全然違う。本来この手はエンジンはあまり動かさずに、モーターパワーメインで走るがプレリュードは効果的にエンジン音を発生。

 特に新型プレリュード専用の「S+shift」を用意。モードスイッチを入れるとほぼモーター駆動なのに、エンジンと連動するかのように走れる。

 電動車なのに、エンジン付きスポーツカーのようなエキサイティングなエンジン音や振動が伝わってくるのだ。オマケにプレリュードはシビックタイプR譲りのデュアルアクシスストラットサスペンションや電子制御ダンパー、そのほか本格的なブレンボ製4ポッドブレーキや大口径の19インチタイヤ&アルミホイールを搭載。

 ドライブモードは「スポーツ」「GT」「コンフォート」の3つが選べて、気分次第でちょっと硬めにスポーティにも、逆に優しくソフト目にも走れるのだ。

「バブルよもう一度!」とは明らかに違う!

 名前は変わらずプレリュードだが、見た目も走りもキャラ変も新時代。30年前の見た目優先デートカーとは、ケタ違いにクオリティや走りの質が上がっている。それでいてWLTCモード燃費は23.6km/ℓと良いのも凄い。

 開発陣に聞くと、価格は確かに上がったがその分、走り味やクオリティも上がっているので、今50~60代のバブル世代に、自分の息子や娘とシェアする「親子デートカー」として使って貰えれば…と提案。そのほか今や「軽メーカー」「ミニバンメーカー」となりつつあるホンダのイメチェンもはかる予定。いろんな意味で、価格も含めてのホンダの新しいトライが新型プレリュードなのだ。

 価格や昔の車名から単純に「バブルよもう一度!」の甘い計画だとカン違いしてしまう人もいると思うが、それはちょっと違う。

 確かにもう少し日本の景気が上がってくれば、素直に受け入れられる人も増えると思うが、そこはその人次第! ぜひこれを読んだアナタにも乗って触っていただきたい意欲作なのである。

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