「薬は社会のためにある」という考え方を体現した救済制度がある
私たち薬剤師は日々、「薬は使い方次第で味方にも敵にもなる」とお伝えしています。けれど、どんなに正しく薬を使っても、ごくまれに“副作用”という落とし穴に足を取られることがあります。そんなとき、医療費などの給付を行う公的な制度が「医薬品副作用被害救済制度」です。
これは、医薬品(病院・診療所で処方されたものの他、薬局などで購入したものも含みます)を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や障害年金、死亡一時金などを支給する公的な制度です。
たとえば、「抗菌薬を服用後、重度の皮膚症状で入院した」「解熱鎮痛薬で肝機能障害が出た」など、正しく薬を使っても起こる可能性のある副作用による被害が対象になります。申請すれば、医学的な審査の後に、適切な給付が行われます。
ただし、ワクチンは別の制度(予防接種健康被害救済制度)が適用されますし、美容目的の薬や不適正使用(自己判断で用量超過など)は対象外となるので注意が必要です。