(31)川を渡って寿司屋で飲む
10年前。六郷の河川敷まで、京急蒲田の次の駅の雑色から歩いた。途中の肉屋でやきとりを買い、コンビニでチューハイを買った。
六郷の河川敷に着くと、かつての私たちのような少年が、野球の練習をしていた。私は、左翼後方のファウルグラウンドの芝に座り、ファミリーマートオリジナルのレモンチューハイを飲み、やきとりを食べた。
対岸に、高いビルが見えるが、空は広く、日差しが強い。少年たちの掛け声が耳に心地いい。コーチがレフト・センター間の深いところに打ち込むと、ショートを守る少年が外野のエリアまで入ってきて、見事にバックホームの中継をした。うまい。実にうまい。このチーム、鍛えられている……。ショートの子、相当、すごい……。そんなことを思いながら、チューハイを飲む。やきとりを喰う。これもまた、実にうまい。
どこぞの山に登ったとか、川や海でビッグサイズの魚を釣ったとか、そのとき飲んだ酒が格別だったとか、それはそれで楽しかろう。でも、河川敷で少年野球を見ながら飲むチューハイもまた格別なのだ。郷愁と言ったらそれまでかもしれないが。


















