著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(31)川を渡って寿司屋で飲む

公開日: 更新日:

 10年前。六郷の河川敷まで、京急蒲田の次の駅の雑色から歩いた。途中の肉屋でやきとりを買い、コンビニでチューハイを買った。

 六郷の河川敷に着くと、かつての私たちのような少年が、野球の練習をしていた。私は、左翼後方のファウルグラウンドの芝に座り、ファミリーマートオリジナルのレモンチューハイを飲み、やきとりを食べた。

 対岸に、高いビルが見えるが、空は広く、日差しが強い。少年たちの掛け声が耳に心地いい。コーチがレフト・センター間の深いところに打ち込むと、ショートを守る少年が外野のエリアまで入ってきて、見事にバックホームの中継をした。うまい。実にうまい。このチーム、鍛えられている……。ショートの子、相当、すごい……。そんなことを思いながら、チューハイを飲む。やきとりを喰う。これもまた、実にうまい。

 どこぞの山に登ったとか、川や海でビッグサイズの魚を釣ったとか、そのとき飲んだ酒が格別だったとか、それはそれで楽しかろう。でも、河川敷で少年野球を見ながら飲むチューハイもまた格別なのだ。郷愁と言ったらそれまでかもしれないが。

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