猫の慢性腎臓病に期待の新薬をAIM医学研究所が承認申請 その効果を獣医師に聞いた
先行するフードの効果はせいぜい予防程度
実は、薬より先にAIMを活性化する成分を含むキャットフードを、マルカンやいなばなどが販売。薬が開発目前とあってキャットフードもかなりの人気だが……。
「キャットフードは治療薬ではなく、あくまでも食餌です。しかし、SNSなどには、悪化した腎臓がよくなるような期待を持っている飼い主さんもいて、人気が過剰な印象があります。AIMを活性化させる成分を含むキャットフードを早めに与えることで、腎臓の老化を遅らせるくらいの認識の方が無難です。その価格は、一般のキャットフードの3~5倍で、腎臓用の療法食の2倍とかなり高い。『わが子の健康に』と使い始めた飼い主さんが、果たしてずっと使い続けられるかどうか。その費用負担がきつくなって、おやつなどを減らし、全体的な栄養バランスを崩しては元も子もありません」
実は、猫の体内にもAIMはほかの物質と結びついた状態で存在する。AIMが機能しないのはその結びつきが強固なためで、薬では静脈注射でAIMを投与することで補っている。キャットフードでは、その結びつきを断ち切る成分を含み、AIMを活性化しやすい状態にする仕組みだという。
宮崎氏らはL-シスチンにその役割を認め、AIMをPRするキャットフードにはL-シスチンが含まれている。それでも十分ではないことは、AIM医学研究所のHPにも記載されている。
「腎臓に蓄積したゴミがまだ少量で、腎臓の損傷がまだない、もしくは軽度なうちに、ネコがL-シスチンを定期的に摂取し、少量ではあってもコンスタントにAIMを活性化させることで、腎臓病の予防や病態の悪化を抑制する可能性があります」
宮崎氏も触れているのは、腎臓病の予防や悪化の抑制であって、治癒ではないのだ。キャットフードだから当然といえば当然だが、この点はしっかりと理解しておいた方がいい。では、延命についてはどうか。宮崎氏が出版した「猫が30歳まで生きる日」(時事通信社)のタイトルを読むと、AIMの活用で猫の寿命が2倍に延びるようなイメージだが……。
「キャットフードにも30歳を連想させるように30の数字が印刷されているものもあります。AIMの製薬化によって、猫が苦しむ慢性腎臓病を改善できるとしても、ほかの臓器は老化し、病気になる。猫がAIMでの治療を受けたとしても、すべての臓器や細胞が若返るわけではないため、生命活動のバランスが崩れ、2倍の寿命延長は考えにくい。猫の30歳は、人間で換算すると140歳くらい。いくらなんでも現実的ではありません。当然、30歳への延命を示すデータもありません」
ギネス記録に認定された猫は米国のテキサス州にいたメスで、38歳と3日で大往生した。人間なら170歳という、とてつもない長寿記録だ。欧米には30歳超えの長寿猫もいるが、これらは超がつくレアケース。AIMが期待の新薬だとしても、多くの猫がギネス級の長寿になるとはやっぱり考えにくいだろう。
猫の腎機能が低下し、尿毒症になると、体にたまったアンモニアや尿素などの毒素を薄めようとして飲む水の量が増えるのに、病気で排尿作業がうまくいかず、トイレの回数が変わらない、それでいて尿の色が濃い、臭い、といった症状が見られる。
猫にとって腎臓病は避けて通れないが、尿毒症の治療は動物病院の獣医師によって対応が分かれることも少なくないという。そのときにどうするか。主治医とよく相談しておくことだ。


















