岩手県雫石町 宮沢賢治を魅了した秘湯と大規模農場
東京ドーム640個分の広さ
雫石を代表する観光スポットの「小岩井農場」は、三菱の創業者・岩崎弥太郎を補佐した小野義真、三菱の2代目社長の岩崎弥之助、そして日本の鉄道の父といわれた井上勝--創業者3人の名字から1字ずつ取って名付けられた。国内最大級の農場だ。
もとは木もまばらな不毛の原野で、馬や人の力だけで開墾し、1891(明治24)年に開場した。面積は3000ヘクタール。東京ドーム640個分で、山手線内の半分ほどの広さというから驚く。
宮沢賢治は、この緑豊かな広大な農場にも度々訪れている。長編詩「小岩井農場」は1922(大正11)年5月に同地を訪問した際のスケッチだ。同作で賢治は、現在も使用されている農場のシンボル「本部事務所」について、「本部の気取つた建物が桜やポプラのこつちに立ち」と書いている。
建ったのは1903(明治36)年。同農場に21棟ある国の重要文化財のひとつでもある。
穀物類乾燥庫として1916(大正5)年に完成した「四階倉庫」も重要文化財だ。その名の通り木造4階建ての巨大な倉庫で、当時開通したばかりの電気で動くエレベーターも中央に設置されている。大黒柱がない構造だが堅固で、「東日本大震災の時でもガラスが数枚割れた程度」(観光部営業マネジャーの畑中裕之さん)だという。
やはり重要文化財の「一号牛舎」は1934(昭和9)年に建てられた。機械化などの改良を重ねながら、現在も68頭の乳牛が暮らしている。農場には2700頭の牛が飼育されていて、一号牛舎には乳の出がいい乳牛がそろっているそうだ。
観光エリアの「まきば園」では、牛舎で搾ったばかりの低温殺菌牛乳を味わうことができる。濃厚で甘さを感じられる極上の飲み物は、持ち帰りができず、通販もやっていない。ここでしか体験できない特別な恵みだ。
(住)雫石町丸谷地36-1
(℡)019-692-4321
https://www.koiwaifarm.com

















