【鹿児島・嘉之助蒸溜所】日本一美しい蒸留所のバーで水平線を眺めながら至極の一杯
鹿児島県内には、南さつま市の「マルス津貫蒸溜所」(本坊酒造)など、ウイスキーの製造免許を保有している会社が10社あり、もともとはすべて焼酎の蔵元。鹿児島は「焼酎王国」であり、ジャパニーズウイスキーの一大生産地でもある。
嘉之助蒸溜所所長でチーフブレンダーを務める中村俊一さんがこう言う。
「焼酎は麹を使って主原料の麦やサツマイモを発酵させます。ウイスキーはモルト(麦芽)を糖に変えて蒸留し、アルコール度数を高めていきます。基本的な工程は一緒です。ただ焼酎は1年あれば製品になりますが、ウイスキーは最低3年間、熟成させないと商品化できません。国産ウイスキーはかつて売れない時代が長く続き、地方の焼酎蔵が参入するには体力的にもハードルが高かった。うちには設備があったので、焼酎造りの技術を生かしたウイスキーを造ろうと、2017年から製造を始めました」
夏は暑く、冬は寒い日本と違い、スコッチの本場・スコットランドは気温が安定しているため、熟成がゆっくり進む。環境の違いは、ウイスキー造りに大きな影響を及ぼす。
「スコットランドでは<天使がこっそり飲んでしまった>といわれる『エンジェルズ・シェア』(天使の分け前)が年間2%ずつ樽から減っていき、10~12年で飲み頃になります。年間の寒暖差が40度ほどの鹿児島では、ウイスキーが樽の中で大きく深呼吸するようなイメージです。夏場は樽の中でウイスキーが膨らんで不要なものを外に吐き出し、冬場は液体が縮んで樽に染みた成分を取り込みます。その分熟成のスピードが速く、スコットランドの約3倍、6%ずつくらい減っていきます。4、5年経てば、スコットランドの12年物に負けないぐらいの味わいになります」(中村さん)
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