落ちこぼれ格闘家の夢も破れた青年 “年収1億円”への道<前>

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吉角裕一朗さん(コーンテック社長)=前編

 今回登場の吉角さんは「『まだない仕事』で稼ぐ方法」なる本の著者である。ゼロからのスタートで年収1億円を達成するためのビジネスのヒントが満載の本として話題だが、そのキモは「まだない仕事」を考えること。どういうことなのか? 伝授してもらった。

■“畜産で地球を救おう”と考えるまで

 吉角さんはいくつもの事業を手掛けているが、そのひとつが、熊本に本社がある畜産アグリテックの会社「コーンテック」。吉角さんが社長だ。

 ちなみにアグリテックとは、農業とテクノロジーを組み合わせた造語だ。ここでの「まだない仕事」とは何なのか?

 現代は食糧問題や環境問題などの社会課題を無視してビジネスは成り立たない。むしろそこにこそ「新しい商機がある」と、吉角社長は、〈畜産業界〉の課題解決に取り組んでいるのだ。

「いまや畜産は巨大産業。大きい養豚場だとブタは30万頭もいます。配合飼料のちょっとした違いで、成育や飼料コストに大きな差が出る。少ないエサで効率よく育てば、それだけ飼料用作物による環境負荷が減ります。しかし、独自に配合飼料を開発するには高い専門性が必要。そのためベテラン飼育者の経験や勘に頼ったり、割高な輸入品の配合飼料に頼らなければならない現実があるのです」

 それらを解決する切り札がAIやIoTなどの最新テクノロジーだ。人間の勘の代わりに、温度や湿度、土やエサの状況をモニタリングし、その結果をAIが学習、最適な配合割合を導き出す。IoTで遠隔監視やデータ収集を行うことで人件費の削減も可能だ。

 将来的には、地域で発生する食品残渣をエサに配合し、それを食べたブタのフンを堆肥やバイオマス発電の原料に2次活用。さらに、それをもとに作物を育てるという循環型モデルの構築も吉角社長は目指しているそうだ。

就活中に「自分は社長に向いている」と気づく

「畜産を通して、地球環境を健全に循環させたい」と、吉角社長は体(身長180センチ、体重105キロ)も言うこともデッカイのだが、実は小さい頃はいわゆる〈落ちこぼれ〉だったという。

「小学生時代は父の仕事の関係で転校が多く、学校に馴染めなくて、いじめられたりしました。中学時代はひきこもり。半分くらいは学校に行っていません。夜中に“新日”などプロレスの試合をテレビで見るのが唯一の楽しみで、特に獣神サンダー・ライガーの大ファンでした」

 高校を卒業するとすぐ上京し、格闘家・高田延彦氏が主宰する「高田道場」へ。体の大きさには自信があったが、それがかえってアダとなった。

「その頃の格闘技の世界は階級制。道場には小柄な選手ばかりで、僕みたいな大柄な人間には練習相手がいなかった。一方、外国人にはパワー負け。つまり、中途半端に大きかったんです」

 また当時、新進気鋭の柔道家として知られていた青木真也氏と練習試合で対戦。実力の違いを見せつけられ、「こいつには勝てない」と、格闘技界から足を洗うことを決意する。その時22歳。

 それから2年間、語学の専門学校に通ったが「いま思えば挫折した心の傷を癒やすためでした。周りは年下で目的もないクズのようなやつらばかり。全然馴染めない……というか馴染めなくて結構という、すさんだ気持ちで日々過ごしていました。いわゆるモラトリアム人間でしたね」

■「ルールを作る側になりたい」

 転機が訪れたのは専門学校2年目の就職活動期。就活イベントで経営者と話す機会があり、生きるヒントを得た。

「世の中にはルールを作る人間と、そのルールの中で生きる人間の2パターンがあるということです。自分は社長側、つまりルールを作る側になりたいと思ったんです」

 そもそも命令されたり組織で動くのは好きじゃない。だからサラリーマンは無理だ。むしろ自分で会社を経営する方が向いているんじゃないか? そう一念発起し、故郷熊本に帰ったのは、24歳の時だった。

 =後編につづく

(聞き手=いからしひろき)

▼よしかど・ゆういちろう 1982年、熊本県生まれ。高校卒業と同時に上京し高田道場の門を叩くも、4年で引退。その後、語学学校に通いつつ高円寺でバイト生活。24歳で熊本に帰り、起業。自動車の再生バッテリーの通販事業を開始する。現在は「カーエイド」の運営や、畜産アグリテック事業などを展開。1児の父。著書に「『まだない仕事』で稼ぐ方法」(ワニブックス)など。

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