瀕死状態の注文紳士服をV字回復させた4代目の着眼点<前>

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佐田展隆さん(オーダースーツSADA社長)前編

“安いのに着心地が良い”とサラリーマンたちに評判のスーツがある。全身の約20カ所を採寸するなど、フルオーダーばりに仕立ててくれるのに、1着なんと1万9800円から。そのスーツを作る店の名は「オーダースーツSADA」。全国に53店舗を展開する、老舗ながら近年急成長中の企業だ。

 陣頭指揮を執るのは、4代目社長の佐田展隆さん。学生時代はサッカーやノルディックスキーで鳴らしたというだけあって、40代半ばにしてスリムな体がスマートな印象だが、ここまでの道のりはまさに茨だった。

■そごう破産で借金24億円

「佐田家は大正12(1923)年創業。長く紳士服の卸売り、注文紳士服の縫製などの商いをしてきました。父の代に大手百貨店『そごう』と取引を始めたことで大きく成長。しかし、バブル崩壊でそごうが経営破綻すると、影響はわが社にも直撃。当時別の会社で働いていた私に、父から“戻ってきてくれ”と連絡があった時は、瀕死の状態でした」

 展隆さんは男3人兄弟の長男坊。一橋大学を卒業し、「モノづくりがしたい」と東レに入社。短繊維を扱う事業部で働いていた。家督相続は長男に限らないとされていたが、次男は銀行、三男は東京海上に勤めており、繊維関係は長男の展隆さんだけ。29歳、ちょうど仕事にも脂が乗ってきたところだったが、「長男としては断れなかった」と言う。直属の上司の賛成もあり、2003年に株式会社佐田に入社した。

「経営がうまくいってないとは思っていましたが、想像をはるかに超えていましたね」と展隆さん。年商22億円の会社なのに、有利子負債はなんと約24億円。しかも、金融機関から要注意債務者として扱われていたため、金利は4~5%と割高。利子だけで年1億円にも上り、売り上げの大半が利子の支払いで消えていた。

「あまりの惨状に『この会社はどうやって生きているんだ!?』と、父に怒りをぶつけてしまいました。しかし、怒ったところで、どうしようもない。会社を潰してしまったら、尊敬する亡き祖父は許してくれないだろう。どうすればいい? あがくしかない。あがいて何とか会社を立て直そうと心に誓いました」

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