麻生一族企業が廣済堂を買収か すでに20%の筆頭株主に
麻生太郎副総理兼財務・金融相の一族企業である「株式会社麻生」が印刷大手の廣済堂の筆頭株主に躍り出たことが市場の話題をさらっている。4月17日に提出された株式の大量保有報告書で20・01%まで買い増していることが明らかになったもので、「買収も視野に入っているのではないか」(大手証券幹部)と囁かれている。
隠れた超優良企業として知られる廣済堂は終戦直後の1949年に「櫻井謄写堂」として創業した。創業したのはその後、政財界のフィクサーとして知られることになる櫻井文雄氏で、高度成長からバブルの波にのり、祖業の印刷のみならず不動産開発やゴルフ場経営、出版など、さまざまな事業に手を広げた。
スポーツ事業にも熱心で、クラウンライターライオンズの事実上のオーナーを務め、女子ゴルフトーナメント「廣済堂レディス」の冠スポンサーでもあった。しかし、2004年11月に櫻井氏が83歳で死去した後は、バブルの清算に苦慮し、ゴルフ場など資産を次々に手放していった。
それでも廣済堂がいまなお隠れた優良企業と言われるのは、葬祭・火葬事業を手掛ける「東京博善」を子会社として持っているためだ。東京博善は、1921年に貴族院議員で東京慈恵医大の初代学長であった金杉英五郎氏が設立したもので、26年に日蓮宗大本山法華経寺貫主の宇都宮日綱氏が金杉氏に代わって社長に就いて後、約60年間、3代にわたり僧侶が社長を務めた。その僧侶から櫻井文雄氏が84年に株式を買い取り、翌85年に6割の株式を握って子会社に組み入れた。この東京博善が金の卵を産む鶏で、廣済堂の利益の大層を叩き出している。