JR東日本はグランピングに活路…アウトドアブームが追い風

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 新型コロナ禍による外出自粛で鉄道事業は大打撃。最大手のJR東日本も例外ではない。先月末、2021年3月期連結業績が4500億円の赤字になる見込みと発表。通期の赤字は1987年の国鉄分割民営化以来、初となる。テレワークの定着もあり、“ポストコロナ”以降も旅客収入は従来水準に戻らない可能性があるという。

 そんな中「活路」を見いだしているのが「グランピング」だ。「グラマラス」と「キャンピング」を組み合わせた言葉で、テントや食事などがあらかじめ用意されており、面倒な準備は一切なし。そんな気軽に豪華キャンプを楽しめる駅直結の施設がJR上越線の無人駅に設置されたのだ。

 そこで日刊ゲンダイ記者は今月中旬に東京駅から2時間超、「土合駅」(群馬県利根郡)にある施設「DOAI VILLAGE」を訪れた。洞窟のような雰囲気の駅舎から施設へと続く出入り口を出ると、シャワーやトイレが完備された小屋を取り囲むように「かまくら」形のインスタントハウスが4棟鎮座していた。それぞれ2~4人が宿泊可。当日の気温は5度以下で1メートル以上の雪が積もっていたが、ハウスの内壁に防寒措置がされており暖かい。他に、まきだきサウナや駅務室を改造したカフェもある。付近に雪山が望め、建物はほぼなし。自然に調和した文字通りの「VILLAGE(村)」だ。

 事業を手掛けるのは、子会社の「JR東日本スタートアップ株式会社」。19年、駅スペースの有効活用を目的に、ベンチャー企業から新規事業を募集。同年11月、グランピング施設を手がける「株式会社 VILLAGE INC」が提案した斬新なプランを採択したものだ。

さらに“とがった駅”を探して拡大目指す

 試験営業を実施したのは、国内でコロナ感染者が出始めた20年2月12日から40日間。本営業開始は、「第3波」が襲来し始めた同年11月だ。

 通常のホテルや旅館は“壊滅”状態だったが、DOAI VILLAGEは違った。担当者の佐々木純さん(33)はこう言う。

「感染状況が深刻化するにつれ、社会全体に『密を避ける』という考えが広がりました。それが、アウトドアブームを加速させたようです。そのため、ありがたいことに現在も予約は入っています」

 土合駅の乗降客数は以前、1日20人未満だったが、試験営業の時点でカフェの来店は約40人に増加。既に3回利用したリピーターもいる。同社は今後もグランピング施設の拡大を視野に入れているという。

「今回の成功は大きかったと感じています。JR東日本管内には1676駅(20年3月31日時点)がありますが、約4割が無人駅。グランピング施設を展開できそうな“とがった駅”を探して、さらに展開していければと考えています」(佐々木さん)

 DOAI VILLAGEは春をめどにインスタントハウスの増設、サウナの拡張も予定されている。グランピング施設の快進撃が続きそうだ。

(取材・文=小幡元太/日刊ゲンダイ)

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