“ものづくり”のソニーが使命感で手掛けた「人工呼吸器」

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「人工呼吸器をつくれないか」――。

 政府(経産省・厚労省)から国内の製造メーカー数社にこんな打診があったのは、昨年3月のこと。新型コロナウイルスの第1波が猛威を振るっていた頃だ。国内で流通する人工呼吸器はほぼすべてが海外製。世界中で非常事態宣言が発令される中、国内で新たに製造するしかなかった。

 ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ(SGMO)のクライアントリレーション部門、浅島史郎副部門長が当時をこう振り返る。

「答えを出すまで数日しかなく、それでもソニーならできる、普段やっている経験が生かせると決断しました。ただ一度引き受けたら後戻りはできない。こういう時だからこそ、ソニーは社会貢献しなければならない。会社全体に、やらなければという使命感があった」

■医療メーカーとタッグで500台を納品

 翌4月、約10年前まで国内で人工呼吸器を製造していた「アコマ医科工業」と手を組む。アコマの以前の製造能力は1日1台。政府からの注文は「9月までに500台」だった。

 製造現場も苦悩した。現場で指揮を執ったSGMOメディカルセンターの玉村和之氏もこう述懐する。

「期限までに1日15台生産しないと間に合わない。協議を重ね、人工呼吸器を分解し、1日20台製造できる工程を設計しました。なくなった部品はつくり直し、締め付けなど細かい調整もその都度、話し合った。見たこともない部品が不良品か、安全なのか、とっさの判断はものづくりの経験が役に立った。部品の調達やプロセスなど、日程を立てられない状況だったので最後は人海戦術でした」

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