台湾新型通勤用車両商戦の敗因 リスクを取らない日本企業
台湾脱線事故で見えた 日本インフラ輸出衰退(下)
「日本の不戦敗ですよ」
アジアの鉄道事情に詳しい専門家は台湾の新型通勤用車両商戦の敗因をこう分析する。台湾鉄路管理局(以下台鉄)の要請に対し日本企業は応じず、応札したのは韓国の現代ロテム社だけだったのだ。
日本の車両メーカーでは日立がイギリスを中心にしたヨーロッパへ積極的に進出していっているが、親会社が鉄道各社のメーカーはおしなべて内向きになっている、という。JR東海の子会社である日本車両は台鉄に多くの納入実績を持つが、2018年に2階建て高速鉄道車両製造のアメリカ子会社の生産拠点を閉鎖し撤退した。試験用車両の強度が基準に達せず、損失が膨らんで事業の継続が困難になったためだ。また、インドネシア・ジャカルタの都市高速鉄道でも巨額の損失が発生したとも伝えられている。
また、台湾新幹線こと台湾高速鉄道に最も多くの車両を納入した川崎重工はアメリカに生産拠点2カ所を持ち、国内他社をリードしてきたが、生産コスト増によって採算割れが生じて多額の損失を計上。18年には海外事業を抜本的に見直した。