倒産件数57年ぶり低水準も“予備軍”12万社…コロナ対策融資終了の反動でラッシュ本格化
何の因果か、前回の東京五輪があった1964年以来の少なさだった。東京商工リサーチ(TSR)によれば、昨年の倒産件数(負債額1000万円以上)は6030件と実に57年ぶりの低水準。倒産を抑えられたのは政府のコロナ対策融資があればこそだ。
政府は2020年3月から利子を負担する実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を始めた。
5年間の元金返済猶予も可能で同年5月開始の民間金融機関分も含め、申込件数は約250万。融資総額は約60兆円に上る。
すでに民間受け付けは昨年3月に終了。政府系金融機関の申し込みは3月に締め切られる。申込件数の約7割が貸し付けから1年間の猶予を選んでおり、これから返済が本格化。オミクロン株拡大で経済大打撃が予想される中、多くの企業に返済負担がのしかかるのだ。
TSR常務の友田信男氏はこう警鐘を鳴らす。
「申込件数と融資を受けた企業の数は、ほぼ同数でしょう。日本政策金融公庫ではコロナ対応融資の56%で元金返済が始まり、7.7%の企業が返済猶予期間の見直しや追加融資を受けています。この数字を全体にならせば返済を始めた約150万社のうち、約12万社が支障をきたしているとみていい。この数が『倒産予備軍』と言えそうで、状況は深刻です。融資支援の効果が薄れた反動で、力ずくで抑えていた倒産件数が、今後は激増しかねません」