韓国大手銀行が日本で脱法的な太陽光投資(下)その巧妙な儲けの手口とは

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 韓国大手銀行・新韓銀行グループのファンドが、脱法的な手法で日本の太陽光発電事業に投融資し、ぼろ儲けしている。問題のスキームの最初の投資案件が、茨城・日立十王でのメガソーラーだ。

 2015年ごろ、新韓銀行グループの「新韓BNPパリバ」が、韓国機関投資家の資金を集め、日本の太陽光投資を目的としたファンドを組成。日立十王の山林に55メガワットのメガソーラーを建設する計画に、日本のSBJ銀行などを通じ、約150億円の資金提供を行った。

 パネル設置などの工事は韓国系の韓電KDNが担い、「オール韓国」で造成した発電所を昨年(21年)4月までに米ファンドに売却。劣後ローン債権を持つ投資家は約8%もの高い金利を得た。エクイティー部分の投資家は、投資元金が2.5倍となる高いリターンを甘受した。

 日本の投資家が低金利で運用先に苦しんでいるのを横目に、韓国勢が成功を収めたのだ。

 しかも、この儲け分を支払うことになるのは、日本国民である。

 メガソーラーを取得した米ファンドは今後、電力会社への売電収入から投資資金を回収することになる。電力会社は再エネ業者に払うコストを「再生可能エネルギー賦課金」として電気料金に転嫁しているからだ。

 さらに、韓国勢が日本で得る利益に対し、満足な課税すらできない可能性がある。

 前回述べた通り、韓国ファンドは日本で銀行免許を持つSBJ銀行(新韓銀行の日本現地法人)に、太陽光事業の実施主体向け融資債権をつくらせ、ほぼ同時に、韓国のファンドに譲渡されるスキームを組んでいる。

 これにより、実施主体が支払う金利は、韓国ファンドの収入になる。すると、法人税は日本ではなく、韓国で納められることになるのだ。

「もし、日本の銀行免許を持つ韓国系銀行が債権譲渡せず融資を継続した場合、得られる利息収入はSBJ銀行の課税所得として、日本で法人税が課税されます。ところが債権が韓国ファンドに譲渡されると、利子はファンドの利益となり、法人税が納められるのは韓国となる。日本での課税は源泉徴収だけとなり、日韓租税条約の制限税率である10%しか課税できない」(公認会計士・税理士の能勢元氏)

韓国系金融から資金を借り入れる背景

 しかも、ファンドの資金を使っているのは、いわくつきの業者が多い。

 前回の冒頭で紹介した、山梨県での乱開発が問題となっているブルーキャピタルマネジメント(東京都)。韓国系銀行は、同社のさまざまな案件に融資しており、その規模は500億円にも上る。だが、土砂崩れや手抜き工事が指摘されている案件が多い。

 また、SBJ銀行などは、三重県四日市市に設置予定のメガソーラーにも数百億円規模の資金を提供している。東京ドーム20個分に相当する95ヘクタールの山林を開発するもので、一時期、地元で反対運動が起こっていた。

 この実施主体はジーヴァエナジー(東京都)といい、代表者はバブル期に地上げ業者として知られ、住専(住宅金融専門会社)の大口融資先の一つだった。

 これらの融資の出どころは、新韓BNPパリバが韓国機関投資家から集めたファンド資金である。

 また、韓国系銀行から約150億円もの資金を引き出し、九州でメガソーラーを手掛けている業者は、数年前に介護報酬の不正請求が新聞沙汰となっている人物が経営者。他にも、巨額脱税が指摘された者など、日本の銀行借り入れが難しい面々が受けている韓国系銀行の融資は、ファンド資金と思われる。

 海を越えて脱法的に持ち込まれた資金を使い、“アウトロー”たちが日本の国土を乱開発……。大手銀行とは思えぬ振る舞いだが、一連のスキームは現・新韓銀行首脳が関与している可能性が高い。

 新韓銀行の頭取を務める晋玉童氏は、09年からSBJ銀行取締役を務め、14年副社長、15年から新韓銀行頭取になる19年まで社長を務めていた。前述の茨城・日立十王の案件は晋頭取の実績であると、韓国の経済メディアは報じている。

 筆者はSBJ銀行に取材したが、期日までに回答がなかった。

 国が太陽光を推奨する裏側で、日本の天然資源や国民の財産が、海外勢に食い物にされている。=おわり

(フリーライター・半田修平)

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