2023年から施行の“負動産放棄法”は増え続ける空き家の救世主か…費用面では高いハードル
総務省が5年ごとに調べている「住宅・土地統計調査」によると、日本の空き家は約849万戸で、空き家率は13.6%(2018年)。それが2033年には2146万戸、30.2%に達するという(野村総研調べ)。
中でも増加見通しなのが、子供が親から相続する不動産だ。物件が都市部や市街地にあれば、売却のほか賃貸に転用可能だが、需要に乏しい場所にある場合、処分できずに固定資産税を支払いながら“負動産”として放置される運命にある。
だが、空き家の増加の抑制を目的とする「相続土地国庫帰属法」が昨年4月に成立し、来年4月27日に施行される。不動産を相続したものの、まったく利用しない場合、一定条件を満たせば所有権を国に移転できる。将来相続の予定がある場合だけでなく、すでに相続している場合も対象になるという。この新法は、全国で増え続ける負動産の解消につながるのか。
不動産アナリストの長谷川高氏はこう言う。
「土地に上物がないこと、樹木や残置物などがないこと、担保権が設定されていないこと、境界が確定していたり隣人とのトラブルがないことなど、国が引き取る際に条件が設けられています。ただ、一般的な住宅を更地にする費用は、だいたい100万~200万円。条件をクリアするには、コストが重しになるケースが少なくありません」